海外の詐欺拠点への連れ去り(略取誘拐・逮捕監禁)|被害にも加害にもなり得る国際事案と弁護
2026/06/05
海外の詐欺拠点への連れ去り(略取誘拐・逮捕監禁)|被害にも加害にもなり得る国際事案と弁護
人を欺いたり脅したりして国外の拠点へ連れ去り、そこで犯罪に従事させるという、国境をまたぐ深刻な事案が報じられています。中国籍の方は、こうした事案で被害者となることもあれば、末端で関与を疑われ加害者として立件されることもあります。本記事は、複雑な国際事案に巻き込まれたご本人・ご家族に向けて、関係し得る罪名と弁護活動の視点を、煽情を避けつつ一般的に整理します。
関係し得る罪名
人を欺いたり脅したりして連れ去れば略取誘拐の各罪(刑法224条以下)に、人を不法に拘束すれば逮捕監禁罪(刑法220条)に当たり得ます。営利や国外移送の目的が加われば、より重い類型が問題となります。国際的な組織が背景にある事案では、末端の関与者がどこまで全体像を認識していたか、すなわち共謀の成否と認識の範囲が、責任の重さを分ける核心的な争点となります。
末端関与者の「認識」をめぐる争い
「割の良い仕事と言われただけで、犯罪の全体像は知らなかった」という主張は、この類型で頻繁に問題となります。刑事事件では、共謀共同正犯の成立に必要な認識・意思の連絡があったかを、客観的状況から丁寧に検討します。安易に全体への加担を認める供述をすると、本来の関与を超えた重い責任を負いかねません。ご本人の認識を正確に再現することが、防御の出発点となります。
外国籍の方に特有のリスク
重い量刑が見込まれる類型では、有罪となれば入管法24条4号リの退去強制事由に該当する可能性が高くなります。被害者の立場にある場合でも、不法残留や資格外活動が併存していると、保護されるべき立場でありながら別個の入管法上のリスクを抱えることがあります。被害者としての保護と、加害を疑われた場合の防御の双方を見据えた、一体的な対応が必要です。
不起訴・役割の正確な評価
在留を守るには、起訴前の段階で関与の程度を正確に評価させ、不起訴処分を獲得することが重要です。被害者性が認められる事案では、その立場を的確に主張することが処分を大きく左右します。執行猶予判決の獲得を最終目標とせず、起訴前から認識・役割・被害者性を丁寧に主張して、不起訴を目指す方針が求められます。
初動で押さえておきたい3つのこと
- 黙秘権を行使し、組織の全体像への関与について不用意に供述しないこと。
- 当番弁護士・私選弁護人を早期に選任し、被害者性を含めて事実関係を整理すること。
- 捜査機関の通訳とは別に、依頼者のために動く通訳を確保すること。
当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行は行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続全般にわたってご利用いただけます。
当事務所は、国際刑事事件、裁判員裁判対象事件、世界的に報道された重大事件への対応経験(事例E-1)を豊富に有しており、複数の国にまたがる複雑な事案でも、一貫した弁護方針を保ちます。中国籍の方の重大事件にも数多く対応してまいりました。
また、入管手続が並行する場合には、難関とされた在留特別許可を獲得した実績(事例D-1)を踏まえて対応いたします。組織的事案における役割の切り分けについては、特殊詐欺の受け子で再逮捕を重ねた方の全件不起訴の事例(事例B-2)のように、関与の程度を争う実績がございます。
万一、刑事手続終了後に退去強制手続へ進んでしまった場合にも、難関とされる在留特別許可の獲得実績を踏まえて対応が可能です。さらに、提携の行政書士と連携し、刑事手続終了後の在留資格の更新・変更等についてもワンストップでお手伝いできる体制を整えております。
結びに
国境をまたぐ事案では、被害者なのか加害者なのか、どこまで関与していたのかという評価そのものが争点になります。だからこそ、ご本人の認識と立場を正確に伝える弁護が欠かせません。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。
過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
(本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。)
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