在留カードの偽造に関与したとされた中国籍の方へ|偽造データ大量保有事案と弁護のポイント
2026/06/05
在留カードの偽造に関与したとされた中国籍の方へ|偽造データ大量保有事案と弁護のポイント
在留カードを偽造したとして、外国籍の方が入管法違反などの疑いで摘発される事案が続いています。報道では、数百人分の偽造用データを保管していたとされる類型もみられます。本記事は、こうした類型に関心を持つご本人・ご家族に向けて、問われ得る罪名と、在留資格を守るための弁護活動の勘所を整理するものです。報道された個別事件の事実関係に立ち入るのではなく、一般的な解説として記しています。
どのような罪に問われ得るか
在留カードを偽造する行為は、入管法上の在留カード偽造罪(入管法73条の3以下)に当たり得るほか、行使の目的でこれを作成した場合には、公文書偽造に準じた重い責任が問われ得ます。偽造された在留カードを所持・行使した場合や、偽造を業として行い多数のデータを保管していた場合には、組織性・営利性が量刑上重く評価される傾向があります。複数人が関与する事案では、共謀共同正犯としての責任の範囲が主要な争点となります。
逮捕後の手続と身柄の見通し
逮捕後は、送致・勾留請求・勾留決定という流れをたどり、組織的な事案では関係先の捜索や共犯者の取調べと並行して、最大20日間の身柄拘束のもとで捜査が進みます。偽造データの保管経緯、関与の程度、利益の帰属などについて、ご本人の認識が事実と異なる場合には、初期段階から的確に主張しておくことが、その後の処分の軽重を左右します。
外国籍の方に特有のリスク
在留カード偽造に関わる事案は、入管法違反として退去強制事由に直結しやすい類型です。有罪となり1年を超える拘禁刑に処せられれば入管法24条4号リに、資格外活動や不法残留が併存すれば同条4号ハ・ロに該当し得ます。さらに、偽造在留カードの利用は、在留資格そのものの取消し(入管法22条の4)の引き金にもなり得ます。刑事処分と在留処分が二重に進行することを前提に、戦略を組み立てる必要があります。
故意・過失をめぐる争いと不起訴の重要性
「偽造であると知らなかった」「データの中身を認識していなかった」という主観面は、本事案類型で頻繁に争点となります。刑事事件では構成要件該当性の段階で故意の有無を徹底して争うことが出発点ですが、当事務所は、退去強制事由の判断においても故意・過失が考慮されるべきではないかという論点を、現在係争中の事案(事例D-2)で正面から問うています。これは責任主義の射程を行政処分に及ぼすべきかという先進的な論点であり、刑事段階から故意・過失を争い証拠を残しておくことが、後の在留手続の備えにもなります。なお同事案は係争中であり、結果を予断するものではありません。
初動で押さえておきたい3つのこと
- 黙秘権を行使し、関与の経緯について不用意に供述しないこと。
- 当番弁護士・私選弁護人を早期に選任し、捜索や共犯者供述に先んじて主張を組み立てること。
- 捜査機関の通訳とは別に、依頼者のために動く通訳を確保すること。
当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行は行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続全般にわたってご利用いただけます。
当事務所は、難関とされた在留特別許可を獲得した事例(事例D-1)を有しており、在留資格を失った状態からの巻き返しにも対応してまいりました。入管当局の過去の許可事例を年度横断的に分析する手法を得意としております。
また、特殊詐欺の出し子に関わったとされた20代の方について、犯意の不存在等を総合的に主張して不起訴処分を獲得した事例(事例B-1)のように、組織的事案における関与の程度・主観面の争い方にも実績がございます。退去強制の危機にある方について、故意・過失要件を正面から問う訴訟(事例D-2、係争中)にも取り組んでおります。
万一、刑事手続終了後に退去強制手続へ進んでしまった場合にも、難関とされる在留特別許可の獲得実績を踏まえて対応が可能です。さらに、提携の行政書士と連携し、刑事手続終了後の在留資格の更新・変更等についてもワンストップでお手伝いできる体制を整えております。
結びに
在留カードに関わる事案は、刑事と入管が連動しやすく、初動の主張の組み立てが結果を大きく分けます。ご本人の認識を丁寧に整理し、刑事と在留の両面から防御線を張ることが肝要です。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。
過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
(本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。)
舟渡国際法律事務所
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