証券口座の乗っ取りと相場操縦で逮捕された中国籍の方へ|不正アクセス禁止法・金融商品取引法違反と在留資格
2026/05/29
証券口座の乗っ取りと相場操縦で逮捕された中国籍の方へ|不正アクセス禁止法・金融商品取引法違反と在留資格
2026年5月、他人の証券口座に不正にログインして一斉に買い注文を出し、株価をつり上げたとして、中国籍の方が金融商品取引法違反(相場操縦)と不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕されたとの報道がありました。報道によれば、乗っ取った複数の口座を使って特定の銘柄を買い上がり、株価が大きく上昇したとされています。
本記事は、こうした「サイバー手口と証券犯罪が組み合わさった事案」で身柄を拘束されたご本人、そして連絡を受けて不安を抱えていらっしゃるご家族に向けて、手続の流れと在留資格への影響を整理するものです。報道はあくまで一つの素材であり、特定の事件の有罪・無罪を論じるものではございません(2026年5月時点の情報に基づきます)。
1. 想定される刑事手続の流れ
逮捕されますと、まず警察での取調べを経て、48時間以内に検察官へ身柄が送られ、検察官は24時間以内に勾留(身柄拘束を続ける手続)を請求するかどうかを判断します。裁判官が勾留を認めますと、原則10日間、延長を含めて最大20日間、身柄拘束が続きます。
相場操縦と不正アクセスが絡む事案は、複数の口座・複数の取引・共犯者の関与が問題となるため、証拠が膨大で、捜査が長期化しやすい類型です。共犯者間の役割分担や認識の有無が争点となることも少なくありません。この段階での供述の一つひとつが、後の処分を大きく左右いたします。
2. 外国人事件特有の強制送還リスク
外国人の方にとって最も注意を要するのは、刑事処分が在留資格に直結する点です。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由として定めています。相場操縦や不正アクセスは法定刑が重く、実刑となれば当然に、また執行猶予が付いた場合でも刑期次第で退去強制の対象となり得ます。
「執行猶予さえ取れれば日本に残れる」という説明は、入管法24条各号の構造を正確に踏まえたものとは言えません。号ごとに要件が異なり、4号リは刑期を基準とするため、執行猶予判決でも在留資格を失う場面が現実に生じます。
3. なぜ不起訴処分が決定的に重要なのか
以上の構造からは、外国人刑事事件の弁護は、起訴後の執行猶予ではなく、起訴前の不起訴処分の獲得を最優先目標として組み立てる必要があります。不起訴となれば前科は付かず、退去強制事由該当の問題も生じにくくなります。
そのためには、勾留段階から、関与の限度・認識の有無・利得の帰属などを丁寧に整理し、検察官に意見書を提出していく弁護活動が欠かせません。財産犯では被害回復や不正利得の返還が情状として大きく働く場面もあります。
4. 初動で押さえておきたい3つのこと
・黙秘権の行使:複雑な取引の経緯を、通訳を介して不正確に語ってしまうと、後日の訂正が難しくなります。話す前に弁護人と方針を確認することが大切です。
・早期の弁護人選任:当番弁護士の制度もありますが、長期戦が見込まれる事案では、早い段階で私選弁護人を選任し、一貫した戦略を立てることをお勧めいたします。
・信頼できる通訳の確保:捜査機関が手配する通訳とは別に、ご本人のために動く通訳を確保することで、供述のニュアンスのずれを防ぐことができます。
5. 当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護に数多く取り組んでまいりました。証拠が大量で争点が複雑な事案にも対応しております。
たとえば、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と反対尋問により無罪判決を獲得した事例がございます。客観証拠の精査が結果を分ける事案では、こうした地道な検討が力を発揮いたします。また、特殊詐欺の受け子事案で複数回再逮捕された依頼者について、取調べ対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例もございます。さらに、冤罪により強制退去の危機に瀕した女性を救済すべく、退去強制事由にも故意・過失を要するのではないかという論点を正面から問う訴訟を、現在係争中です。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更についても、提携の行政書士と連携してワンストップで対応が可能です。
6. おわりに
サイバー手口を伴う証券犯罪は、証拠が膨大で見通しが立ちにくく、ご本人もご家族も大きな不安を抱えられます。しかし、関与の限度を正確に切り分け、在留資格まで見据えた戦略を早期に立てることで、開ける道は確かにございます。お一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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