NS(小紅書・微信)の闇バイト勧誘で逮捕された方とご家族へ|共謀共同正犯と責任主義の射程
2026/05/27
SNS(小紅書・微信)の闇バイト勧誘で逮捕された方とご家族へ|共謀共同正犯と責任主義の射程
1. はじめに
近年、小紅書(Xiaohongshu)や微信(WeChat)等の中国SNS上で「高時給」「楽な副業」と称して留学生・若年中国人を勧誘し、日本国内で特殊詐欺の出し子・受け子、闇バイト型強盗・窃盗、転売詐欺等に従事させる事案が相次いでおります。指示役の多くは海外(特に東南アジア)に拠点を置き、実行行為者としてSNSで募集された中国人当事者のみが日本国内で逮捕される構造でございます。
この種「SNS勧誘型」事案では、当事者の主観的認識(「合法的な代行業務」「短期の軽い作業」等と理解していた)と客観的行為(組織犯罪への加担)の間に大きな乖離が存在いたします。本記事では、同種類型として一般化した形で、共謀共同正犯論・故意・過失論を中心にご説明いたします。
2. 想定される刑事手続の流れ
SNS勧誘型事案で問題となる罪名は、実行行為の内容により異なります。最も多いのは、特殊詐欺における詐欺罪(10年以下の拘禁刑)、強盗罪(5年以上の有期の拘禁刑)、転売詐欺の詐欺罪、窃盗罪等でございます。組織性が高度に疑われる事案では、組織的犯罪処罰法3条の適用可能性もございます。
逮捕後の最大の争点は、当事者が組織犯罪の全貌をどの程度認識していたかという「共謀共同正犯」の成否でございます。当事務所では、取調べ段階からSNS上の勧誘内容、報酬支払の経路、指示役との意思連絡の程度等の証拠を保全し、依頼者の関与を「単純な受託作業」の範囲に限定することを基本戦略といたします。
3. 外国人事件特有のリスク(退去強制と「責任主義の射程」論)
本類型事案では、多くの罪名(詐欺罪・窃盗罪等)の法定刑が1年以上の拘禁刑を含むため、入管法24条4号リの退去強制事由と直接連動いたします。初犯の留学生であっても、組織性犯罪の実行行為者として認定された場合、1年以上の拘禁刑(執行猶予付きを含む)が言い渡される現実的可能性がございます。
当事務所松村大介弁護士の独自論点として、退去強制事由の判断にも責任主義の射程が及ぶべきではないかという主張がございます。客観上は構成要件該当性が認められても、主観上は組織犯罪についての認識可能性を欠いていた場合(SNSの欺罔的勧誘に誘導された場合)、あるいは「受け子」の意識が「合法的な報酬付き作業」にとどまっていた場合に、単に客観的事実のみで退去強制を認定することは憲法31条・13条・14条1項に違反するのではないか、という問題提起でございます。本論点は事例D-2にて現在係争中でございますので断定的予測は避けますが、刑事弁護の段階から認識可能性を立証する証拠を残しておくことが決定的に重要でございます。
4. 不起訴処分の獲得が在留資格の最後の砦
本類型事案の不起訴判断における重要事実は、(1) SNSでの勧誘文言の具体的内容(「合法的代行」「短期作業」等の欺罔性の程度)、(2) 指示役からの脅迫・心理的圧迫の有無、(3) 報酬の金額と本人の生活困窮度の関係、(4) 刑事手続中の反省状況、(5) 被害弁償・贖罪寄付の状況等でございます。
当事務所では、事例B-1(20代女性の出し子事案について指示役からの欺罔的状況・犯意不存在を主張し不起訴処分を獲得)、事例B-2(受け子事案で複数回再逮捕されながら全件で不起訴処分を獲得)等の実績がございます。本類型事案にも直接活かせる弁護経験でございます。
5. 初動対応で押さえておきたい3つのポイント
- 黙秘権の行使:SNS上の勧誘内容、指示役との連絡記録、報酬の流れ等の事実関係について、慎重に弁護人と打ち合わせの上で陳述なさることが重要でございます。SNS上のやり取りの自主提出は弁護人の助言を得てから行うべきでございます。
- 早期の弁護人選任:当番弁護士は初動接見のみの対応となります。勾留段階から私選弁護人の選任をご検討ください。SNS記録の保全は逮捕直後の段階が最も重要でございます。
- 中国語専属通訳の活用:捜査機関側通訳の供述調書には、犯意の微妙な差異が不利な方向で記載される危険がございます。当事務所の中国語専属通訳は依頼者ご本人のために動く立場で対応いたします。
6. 当事務所のご案内と解決事例
【事例B-1:特殊詐欺出し子事案で20代女性につき不起訴処分を獲得】指示役からの欺罔・脅迫的状況、犯意の不存在を起訴前段階に意見書として検察官に提出し、不起訴処分を獲得した事例でございます。SNS勧誘型出し子事案に直接該当する解決事例でございます。
【事例B-2:特殊詐欺受け子で再逮捕複数回も全件不起訴】複数回再逮捕されながら全件で不起訴処分を獲得した事例でございます。組織犯罪関連事案における不起訴獲得の実務能力の証左でございます。
【事例D-2:不法就労助長で強制退去の危機にある女性を救済(係争中)】「退去強制事由には故意・過失が不要」とする従来の実務を覆すべく、責任主義・過失責任主義の射程を問う訴訟を係争中でございます。SNS勧誘型事案における主観認識論の将来的活用先でございます。
当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しております。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。外国人刑事事件においては、初動接見と不起訴処分の獲得が退去強制リスクの分水嶺となります。当事務所は、依頼者ご本人・ご家族の素朴な訴えから出発し、最後まで誠実にお力添えいたします。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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