舟渡国際法律事務所

中国籍の方が来日繰り返しの常習窃盗で逮捕されたら|短期滞在ビザでの窃盗・クレジットカード不正使用と次回上陸拒否

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中国籍の方が来日繰り返しの常習窃盗で逮捕されたら|短期滞在ビザでの窃盗・クレジットカード不正使用と次回上陸拒否

中国籍の方が来日繰り返しの常習窃盗で逮捕されたら|短期滞在ビザでの窃盗・クレジットカード不正使用と次回上陸拒否

2026/05/24

中国籍の方が来日繰り返しの常習窃盗で逮捕されたら|短期滞在ビザでの窃盗・クレジットカード不正使用と次回上陸拒否

1. はじめに

近年、中国本土から短期滞在ビザ(観光・親族訪問・商用等)で繰り返し来日し、空港アクセス列車内や繁華街、観光地等で他人の手荷物から現金やクレジットカード等を窃取するという類型の事件が、警視庁等によって相次いで摘発されています。報道では、2年間で十数回にわたり来日していた中国籍の男性が、成田空港から都心に向かう特急列車内で外国人観光客のリュックから現金やクレジットカードを抜き取り、抜き取ったカードで高額の家電製品を不正購入したとして、窃盗罪と電子計算機使用詐欺罪等で逮捕された事例が報じられています。

本記事は、こうした「短期滞在ビザでの来日を繰り返しての常習窃盗・クレジットカード不正使用」事案について、ご本人・ご家族向けに、刑事手続の流れ、外国人事件特有のリスク、不起訴処分の重要性、初動対応の要点を整理してご説明するものです。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

2. 想定される刑事手続の流れ

窃盗罪(刑法235条)の法定刑は「10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」、電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)の法定刑は「10年以下の拘禁刑」です。クレジットカードを盗み、ATMで現金を引き出した場合や、インターネット通販でカード情報を入力して商品を購入した場合は、窃盗罪に加えて電子計算機使用詐欺罪が別途成立し、両罪は併合罪(刑法45条)の関係に立つため、処断刑がさらに重くなります。さらに、不正なカード使用は「私電磁的記録不正作出罪・同供用罪」(刑法161条の2)も問題となります。

逮捕後の流れは、警察での48時間以内の取調べ・送致、検察官による24時間以内の勾留請求、裁判官による10日間の勾留決定、さらに10日間の勾留延長、計23日間の身柄拘束を経て起訴・不起訴が決定されるという基本構造をとります。来日繰り返しの常習窃盗事案では、余罪についての捜査が長期化し、複数回の再逮捕・再勾留が繰り返されることが多く、ご本人の身柄拘束が数か月にわたることも珍しくありません。

3. 外国人事件特有のリスク

来日繰り返しの常習窃盗事案では、入管法上のリスクが二重三重に重なります。

第一に、有罪判決が確定し、その刑が「無期又は1年を超える拘禁刑」となった場合、入管法24条4号リに該当し、退去強制対象者となります。窃盗の被害金額・回数によっては、執行猶予判決ではなく実刑判決となる可能性が十分あり、その場合は服役後直ちに退去強制手続に移行します。

第二に、執行猶予判決を獲得した場合でも、4号リの「執行猶予全部の除外規定」(執行猶予の言渡しを受け、その猶予期間中の場合は除外)の適用関係を慎重に検討する必要があります。執行猶予が「全部」にかかるか「一部」にとどまるか、また保護観察付執行猶予か否かにより、退去強制事由該当性の判断が異なります。

第三に、本件で最も重要なのは、刑事処分の結果いかんにかかわらず、本件犯罪事実の存在自体が、次回以降の来日時における「上陸拒否事由」(入管法5条1項4号)に該当する点です。すなわち、日本において「1年以上の拘禁刑に処せられたことのある者」は、刑の執行を終え、又は執行を受けることがなくなった日から原則として10年間は上陸を拒否されます。仮に不起訴・略式罰金で終わったとしても、出入国記録に犯罪事実が残ることで、次回来日時に審査官から厳格な質問を受け、上陸拒否となる可能性が高くなります。

加えて、退去強制された場合、当該外国人は「上陸の日から5年間」(一定の悪質事案では「10年間」)、日本に上陸することができません(入管法5条1項9号ロ・ハ)。すなわち、刑事処分・在留特別許可・上陸拒否という三段階のフィルターで、来日継続の可能性が大きく狭まることになります。

4. 不起訴処分の重要性

短期滞在ビザでの来日中に逮捕された場合、ご本人は「日本に住所も家族もない」状態であり、勾留期間がそのまま帰国の遅延に直結します。さらに、刑事処分が「実刑」となった場合は、服役後に退去強制、その後10年間の上陸拒否という長期的な不利益が確定します。

したがって、本類型における弁護方針の中核は、(i) 起訴前段階での不起訴処分の獲得、(ii) 万一起訴された場合の罰金または執行猶予の獲得、(iii) 退去強制された場合の入管手続段階での不利益最小化、という三段階の防御線を立体的に組み立てることにあります。とりわけ、起訴前段階での不起訴処分の獲得は、その後の全ての段階における不利益を最小化する起点となります。

不起訴処分獲得のための具体的弁護活動としては、被害者との示談交渉(被害弁償・宥恕状の取得)、検察官面談での主観的事情の主張(窃取の故意の不存在・電子計算機使用詐欺の認識の不存在・常習性の否定等)、犯行に至る経緯の人道的事情の主張、ご本人の反省状況の客観的疎明等が挙げられます。

なお、来日繰り返しの常習性が認定されてしまった場合、不起訴処分の獲得が著しく困難となるため、初動段階で「常習性」の認定を阻止する弁護活動が決定的に重要となります。

5. 初動対応で押さえておきたい3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。短期滞在ビザでの逮捕事案では、取調べが日本語で行われ、通訳人を介してご本人が応答する形となります。通訳のニュアンスのズレが供述調書に固定化されると、後の公判で取り返しがつきません。特に「常習性」「主観的認識」「共謀の範囲」等の微妙な事項については、安易に応答せず、弁護人と協議の上で対応する必要があります。

第二に、早期の弁護人選任です。当番弁護士制度を利用することもできますが、外国人事件・常習窃盗事案に精通した私選弁護人を選任することで、初動段階から不起訴目標主義の方針を一貫して進めることが可能となります。

第三に、経験ある通訳の手配です。警察・検察の指定通訳人は、必ずしも法律用語に精通しているとは限りません。当事務所では、刑事手続全般に対応できる中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、ご依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。

6. 当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、第一東京弁護士会所属・松村大介弁護士(登録番号59077・2019年登録)が代表を務める法律事務所です。中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野としており、刑事段階から退去強制段階に至るまでの一貫した戦略立案に強みがあります。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。

参考までに、当事務所が取り扱った関連の解決事例をご紹介いたします。

まず、特殊詐欺の出し子行為に関わったとされた20代女性について、依頼者の主観的事情(指示役からの欺罔・脅迫的状況、犯意の不存在等)を総合的に主張し、不起訴処分を獲得した事例がございます(事例B-1)。組織犯罪の周辺関与者については、客観的に犯行に関与した事実があっても、主観的認識を徹底して争うことで結果を覆せる場合があり、本事例はそのことを示すものです。常習窃盗事案においても、「常習性」「故意」「共謀」等の主観要件を徹底して争う点で、考え方の共通性があります。

次に、観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったが、在留資格を喪失し不法滞在で逮捕・起訴された事案で、当事務所が憲法的観点から当局と交渉して婚姻・認知を成功させ、入管当局の過去の許可事例を分析することにより、難関とされた在留特別許可を1発で獲得した事例がございます(事例D-1)。短期滞在ビザでの来日中に逮捕された方の場合も、ご家族関係・在日期間・人道的事情等の有利情節を体系的に整理し、入管段階での主張に活用する余地があります。

加えて、当事務所松村大介弁護士は、不法就労助長罪(入管法73条の2)の認定事件において、前例のない在留特別許可を獲得した実績を有します(事例D-2、現在係争中の関連訴訟を含む)。これは、退去強制事由の判断における故意・過失要件論を実務上初めて入管庁に認めさせた成果であり、責任主義の射程を行政処分にまで及ぼす松村流弁護方針の現実の結実です。来日繰り返しの常習窃盗事案においても、刑事段階で主観要件を争うこと自体が、将来の入管手続段階における「責任主義の射程」主張の基礎を成すことになります。

万一、刑事手続終了後に退去強制手続に移行した場合も、当事務所は提携の行政書士と連携し、在留資格に関する手続全般にワンストップで対応することが可能です。

7. 結語

来日繰り返しの常習窃盗事案は、ご本人にとって「刑事処分」「退去強制」「次回以降の上陸拒否」という三重の不利益が直結する類型です。初動段階での弁護方針の立て方によって、その後の不利益の幅が大きく変わります。短期滞在ビザでの来日中にご家族が逮捕された方、または、過去に来日中に窃盗で取り調べを受けた経験があり次回来日時の上陸拒否を懸念される方は、できる限り早期に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。本記事に記載した過去の解決事例は、いずれも個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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网站:https://matsumura-lawoffice.jp/

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