舟渡国際法律事務所

【プレスリリース】 ストーカー警告を理由とする猟銃の仮領置処分が 審査請求からわずか数日で異例の撤回

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【プレスリリース】 ストーカー警告を理由とする猟銃の仮領置処分が 審査請求からわずか数日で異例の撤回

【プレスリリース】 ストーカー警告を理由とする猟銃の仮領置処分が 審査請求からわずか数日で異例の撤回

2026/05/13

【プレスリリース】

ストーカー警告を理由とする猟銃の仮領置処分が

審査請求からわずか数日で異例の撤回

 

―― 警察と公安委員会の迅速かつ適切な判断に深謝するとともに、

     口頭警告制度のあり方について建設的な制度設計の議論を提起する ――

 

【要旨】

 舟渡国際法律事務所(代表弁護士・松村大介)が代理人を務めた仮領置処分審査請求事件において、令和8年5月12日、茨城県公安委員会から、銃砲刀剣類所持等取締法第11条第8項に基づく仮領置処分を撤回し、銃砲を返還する旨の裁定がなされました。

 審査請求書を提出したのは同年5月上旬であり、本日の裁定はわずか数日後でございます。一般に行政不服審査の裁決は数か月から1年以上を要することも珍しくないなか、極めて異例の迅速な判断でございました。本件は、警察及び公安委員会が、提出書面の趣旨を真摯にご検討いただき、自主的・迅速に処分を撤回された事例として、深く感謝申し上げます。

 他方で、本件は、ストーカー規制法上の口頭警告が銃刀法の世界に流入する現行の制度設計について、適正手続の保障の観点から立法的整理を要することも示しております。本日は、本件のご報告とあわせて、建設的な制度設計の議論をご提起したく存じます。

 

1 案件の概要

 本件の依頼者(50代男性、茨城県内在住)は、約7年間にわたり銃砲所持許可を受け、適法に狩猟・射撃に従事してこられた方で、地元猟友会から安全狩猟射撃指導員として委嘱を受け、地域の狩猟安全教育にも貢献してこられました。前科前歴は一切ございません。

 令和8年2月、元交際相手とのメール上のやり取りをきっかけに、警察から口頭警告を受け、その翌日、当該口頭警告の存在を主たる根拠として、銃刀法第11条第8項に基づき所持されていた散弾銃及び特定ライフル計2丁が仮領置されました。

 依頼者は、約7年間積み上げてきた狩猟活動が突然奪われたことに納得がいかず、令和8年2月、当事務所にご依頼いただきました。

 

2 当方の主張の柱

 当事務所は、二段構えの法的対応を組み立てました。

 第一に、茨城県公安委員会に対する審査請求。論点としては、銃刀法第5条第1項第18号の「他人の生命等への害悪のおそれを認めるに足りる相当な理由」を充足する具体的・実質的危険が客観的に存在しないこと、依頼者の約7年間の適法使用実績と安全狩猟射撃指導員としての公的役割が銃刀法の立法趣旨(札幌地判令和3年12月17日参照)に合致すること、仮領置後に依頼者が一切の問題行動に及んでいない後発的事情を考慮すべきこと(東京地判平成30年3月30日参照)、適正手続(憲法第31条)の趣旨等を、緻密に論じました。

 第二に、行政手続法第36条の2に基づく行政指導中止申出を、警察署長に対し提出いたしました。

 

3 結果と、警察・公安委員会への深謝

 令和8年5月12日、茨城県公安委員会より、仮領置処分を撤回し、銃砲を返還する旨の裁定をいただきました。審査請求書提出から、わずか数日後の出来事でございます。

 本件で特筆すべきは、警察及び公安委員会が、提出書面の趣旨を真摯にご検討くださり、依頼者の長年の適法使用実績、安全狩猟射撃指導員としての公的役割、本件処分後に新たな問題行動がない事実、銃刀法の立法趣旨等を総合的に考慮されたうえで、自主的かつ迅速に処分を撤回されたという点でございます。

 行政の自己評価・自己是正の機能が、極めて短期間で適切に作動した事例として、当方は心より敬意と感謝を表します。本件は、警察・公安委員会の制度運用に対する信頼を高める事例でもあると、当方は受け止めております。

 

4 制度設計についての建設的な提言

 本件の解決をもって個別事案の救済は実現いたしましたが、当方としては、より広い視野から、口頭警告制度のあり方について、建設的な議論を呼びかけたく存じます。

 現在、ストーカー規制法上の口頭警告・文書警告については、行政手続法上の不利益処分とは整理されておらず、対象者に対する事前の弁明の機会の付与は法律上義務付けられておりません。他方で、これらの警告を受けた事実は、銃刀法をはじめとする各種制度の世界で、許可の欠格事由として、または包括条項経由の処分根拠として、実質的に重大な影響を及ぼし得ます。

 禁止命令の場合は、発令前に行政手続法上の聴聞・弁明の機会が法律上保障されており、適正手続上の問題は生じません。一方、口頭警告・文書警告については、発令前の反論機会が制度化されていないため、対象者の側からは、何が起こったのか把握しないままに、別の制度領域で不利益を受けるという、現行制度の構造上の課題が見えてまいります。

 この課題の解決には、概ね二つの方向性が考えられます。

 第一の方向は、口頭警告・文書警告について、発令前の弁明の機会を法律上保障する改正です(緊急性を要する場合の例外規定を設ける慎重な設計を伴う)。

 第二の方向は、ストーカー規制法上の警告と、銃刀法等の他制度との連動関係を、立法的に整理し直す方法です。銃刀法上の規制が真に必要な場合には、銃刀法本体側で独自の判断を行えば足り、その場合には行政手続法上の手続保障が当然に作動します。

 いずれの方向も、被害者保護のためのストーカー規制法の効能を損なうものではございません。被害者保護と適正手続の保障は、丁寧な制度設計によって両立可能であると、当方は確信しております。

 

5 関連する当事務所の取組み ―― 奈良ストーカー警告事件

 当事務所では、これまでもストーカー規制法の運用と適正手続の関係について、継続的に問題提起してまいりました。

 代表的な案件として、令和6年6月26日に大阪高等裁判所で判決をいただいた「奈良ストーカー警告事件」(警告処分取消等請求控訴事件)がございます。同事件では、当事務所が代理人を務め、ストーカー規制法第4条第1項に基づく文書警告に法的効果があることを正面から認める画期的な判断をいただきました。

 本件の仮領置処分撤回は、奈良ストーカー警告事件で開かれた救済の道を、銃刀法の領域にまで実質的に拡げる先進的事例として位置付けられるものと、当方は考えております。

 

6 取材対応について

 本件に関するお問い合わせ、取材のご依頼は、下記までお願い申し上げます。なお、個人情報保護及び依頼者のプライバシー保護の観点から、依頼者個人を特定し得る具体的な事実関係につきましては、お答えを差し控えさせていただく場合がございます。

 制度設計に関するご意見・ご質問につきましては、当方として可能な限り誠実にお答え申し上げます。

 

【お問い合わせ先】

舟渡国際法律事務所

弁護士 松 村 大 介(第一東京弁護士会所属)

〒171-0033

東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階

E-mail:matsumura@funadolaw.jp

 

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電話番号 :050-7587-4639


東京にて行政事件に関する対応

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