舟渡国際法律事務所

中国籍の方が日本で公務執行妨害・警察官への暴行傷害で逮捕されたら|不起訴処分と在留資格を守るために

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中国籍の方が日本で公務執行妨害・警察官への暴行傷害で逮捕されたら|不起訴処分と在留資格を守るために

中国籍の方が日本で公務執行妨害・警察官への暴行傷害で逮捕されたら|不起訴処分と在留資格を守るために

2026/05/13

中国籍の方が日本で公務執行妨害・警察官への暴行傷害で逮捕されたら|不起訴処分と在留資格を守るために

(2026年5月時点/松村大介 弁護士 監修)

1. はじめに ― 在日中国人の方が警察執行行為に対峙する場面の論点

近時、東京都内の多重交通事故において、巡回中の警察官をはじめ複数名が重傷を負った事案が報じられるなど、警察官受傷を伴う事件における中国籍の方への社会的関心が高まっている状況がございます。事故の起因が過失運転致傷であった場合であっても、また警察の執行行為過程における物理的衝突であった場合であっても、警察官の方が負傷された場合、多くの事案において検察官は「公務執行妨害罪」と「傷害罪」の観念的競合(一個の行為が同時に複数の罪に該当する関係)として追訴する運用がなされており、事案の重大性は格段に上昇いたします。

本記事では、こうした類型の報道を契機として、中国籍のご当事者の方の刑事手続の流れ・退去強制リスク・弁護方針について、一般的な解説を試みるものです。特定個人・特定事件に関する論評ではなく、汎用的な論点整理として位置づけられるものでございます。

2. 適用罪名と法定刑の構造

日本刑法95条1項の公務執行妨害罪は、「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者」につき、3年以下の拘禁刑(令和7年6月施行の現行法における自由刑)または50万円以下の罰金を定めております。

警察官の方が負傷された場合は、刑法204条の傷害罪(15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が同時に成立し、両罪は観念的競合(刑法54条1項前段)として、重い刑である傷害罪の法定刑により処断されます。

公務執行妨害と傷害が併合する場合、罰金で済む可能性も法文上は残ります。もっとも、実務では、警察官が現に負傷された事案は厳しく追訴される傾向があり、実刑または1年を超える拘禁刑が言い渡される可能性が相当程度ございます。

3. 外国人事件特有の退去強制リスク

入管法24条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由として定めております。傷害罪で1年を超える拘禁刑が言い渡された場合、たとえ全部執行猶予付きであっても、同号末尾の除外規定の適用範囲が限定され、退去強制リスクが顕著に高まります。

また、警察官への暴行・傷害事案は「悪質」と評価される傾向があり、量刑上も重く、加えて「素行不良」性が在留資格更新(入管法21条)や在留資格取消し(同法22条の4)の判断にも直結いたします。退去強制に至らずとも、「素行不良」評価により在留資格が中断するリスクも併存いたします。

特に留意すべき点として、ご家族・お子様の生活基盤への影響がございます。在留資格喪失は、日本国内のすべてのご家族・就業基盤の中断を意味し、日本国籍を有するお子様の養育環境にも影響を及ぼします。

4. 不起訴処分獲得の中核的位置づけ

在日中国籍のご当事者の方にとって、「執行猶予判決=引き続き日本に居住可能」というご認識は、極めて危険でございます。判決の主刑が1年を超える拘禁刑となれば、執行猶予付きであっても退去強制の俎上に乗る可能性があるためです。したがって、弁護活動の最優先目標は「起訴前段階での不起訴処分獲得」とし、事件を公判段階へ進めないことに尽きます。

不起訴処分獲得のための主たる論点としては、(1) 因果関係の争点化(警察官の負傷が当事者の行為と相当因果関係を有するか、もしくは警察官側の過失や行動が介在するか)、(2) 故意の争点化(当事者の行為が積極的暴行の意思に基づくものか、それとも反射的・防御的な動作にとどまるか)、(3) 飲酒・薬物影響下の責任能力の争点化、(4) 負傷された警察官・所属警察署との実質的損害賠償・宥恕状取得交渉が挙げられます。

特に重要な論点として、警察による職務質問・拘束過程で発生した衝突事案においては、「公務の適法性」が公務執行妨害罪の消極的構成要件として機能いたします。警察官の職務行為自体が違法(理由を告知しない拘束、過当な実力行使等)である場合、公務執行妨害罪は成立いたしません。この論点の精密な論証は、当事務所の中核的弁護方針でございます。

5. 初動対応で押さえておきたい3つのポイント

第一に、黙秘権の行使でございます。日本国憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項は被疑者の黙秘権を保障いたしております。弁護人と面会する前は、警察・検察の取調べに対し詳細な供述をなさることは避けるべきでございます。特に「事件の経緯」「警察官との衝突時の心情」等の主観面に関する供述は、後の公判で重大な影響を及ぼし得ます。

第二に、早期の弁護人選任でございます。「当番弁護士」制度により警察留置中に弁護士の初回接見を無償でご利用いただけますが、当番弁護士は1回限りの制度でございますため、その後の手続を継続的に担当する私選弁護人を早期に選任されることが望ましく存じます。

第三に、経験ある通訳の同席でございます。捜査機関が指定する通訳人の中立性には限界があり、特に「衝突時の心情」「事件の経緯」等の主観的事項に関する訳出のわずかなニュアンスのずれが、後の公判で重大な影響を及ぼし得ます。

6. 当事務所の弁護体制と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、第一東京弁護士会所属の松村大介弁護士(登録番号59077・2019年登録)が、中国籍のご依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野として運営する事務所でございます。

公務執行妨害・傷害事案と論点を共有する当事務所の解決事例として、以下のものがございます。

第一に、ストーカー規制法警告処分取消等請求控訴事件において、本所松村弁護士は画期的な高裁勝訴判決(令和6年6月26日大阪高等裁判所判決)を獲得いたしました。本判決は警察処分の処分性を正面から認めた点に先例的価値を有するものでございます。本案件において発揮された「警察行政の違法性論証能力」は、公務執行妨害事案における「公務の適法性」の争点の精密な論証と、高度に同型の能力体系と申し上げられます。

第二に、裁判員裁判対象事件・国際刑事事件・世界的に報道された重大事件において、当事務所は豊富な弁護実績を蓄積しており、警察官受傷を伴うような社会的関心の高い事案にも適切に対応申し上げる実務能力を備えております。

第三に、難関とされた在留特別許可案件において、当事務所は入管庁公表事例の横断的比較と憲法14条1項の平等原則の論証を通じて、複数件の許可実績を有しております。本件類型における退去強制段階の参考事例となるものでございます。

第四に、不法就労助長罪認定事件において、本所松村弁護士は、前例のない在留特別許可を獲得いたしました。これは、責任主義の射程を行政処分判断にまで及ぼすことを可能とした画期的な成果であり、警察官受傷事案における「故意」「未必の故意」の争点深化にも方法論的価値を有するものでございます。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、ご依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたりご利用いただけます。

7. 結語

公務執行妨害・警察官への傷害事案は、社会的関心の高さと検察追訴の厳格化傾向を背景として、1年を超える拘禁刑が言い渡される可能性が相当程度あり、中国籍の方の在留資格を直接的に脅かす類型でございます。72時間の最重要局面において、日本の入管法に精通した弁護人にご相談いただき、「公務の適法性」の争点化と不起訴処分獲得という二重の防御線を構築されることが、在留資格保全のためにもっとも重要な手段かと存じます。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。本記事に記載した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍のご依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得、不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可の獲得、ストーカー規制法警告処分取消の高裁勝訴判決等の解決実績を有する。

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