「示談できない事件は不起訴にならない」という誤解|薬物・入管など被害者なき類型の弁護
2026/06/02
「示談できない事件は不起訴にならない」という誤解|薬物・入管など被害者なき類型の弁護
薬物事犯や入管法違反などの類型では、「被害者がいないから示談ができず、不起訴は望めない」という諦めの声を耳にすることがございます。けれども、これは正確ではございません。被害者との示談が難しい類型でも、不起訴を目指す弁護活動には、別の道筋がございます。本記事は、この誤解を整理いたします。
なぜ「示談=不起訴」だけではないのか
示談は、被害者のある事件で重要な要素でございます。しかし、不起訴の判断は、被疑事実の有無、故意の内容、犯情、更生可能性など、さまざまな事情の総合判断によります。被害者のいない類型では、示談以外の要素を丁寧に積み上げることが鍵となります。
たとえば薬物事犯では所持や使用の故意・経緯・常習性の有無が、入管法違反では在留状況や経緯、認識の有無が問われます。これらを的確に主張することで、起訴猶予等の不起訴が見込める場合がございます。
外国人事件で不起訴が決定的に重要な理由
外国人事件では、執行猶予判決でも退去強制に至ることが少なくございません。入管法24条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑」を退去強制事由と定め、薬物事犯については同4号チが刑の軽重を問わず退去強制事由とするなど、号ごとに構造が異なります。
とりわけ薬物関係は、執行猶予でも退去強制対象となり得るため、起訴前段階での不起訴の獲得が、在留資格を守るうえで決定的に重要でございます。
被害者なき類型での弁護活動の例
被害者のない類型では、贖罪寄付、再犯防止に向けた具体的計画、家族や職場の支援体制、医学的なフォローアップなどを整えることが、検察官への有力な訴えとなり得ます。
また、故意や認識の不存在を争える事案では、構成要件該当性そのものを丁寧に検討いたします。執行猶予を目標とするのではなく、不起訴を最優先目標として活動を組み立てることが重要でございます。
初動で押さえておきたいこと
第一に、黙秘権の行使でございます。経緯や認識に関する不用意な供述は避けるべきでございます。第二に、早期の弁護人選任でございます。第三に、信頼できる通訳の確保でございます。捜査機関の指定通訳とは別に、本人のために動く通訳の関与が望まれます。
当事務所のご案内と解決事例
当事務所は、被害者の有無にかかわらず、不起訴・無罪を見据えた弁護に取り組んでまいりました。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と反対尋問により無罪判決を獲得した事例がございます。重い薬物事犯でも、故意・目的の不存在を争うことの意義を示す一例でございます。
特殊詐欺の出し子に関わったとされた依頼者について、主観的事情を総合的に主張して不起訴処分を獲得した事例もございます。
さらに、冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した女性の救済では、退去強制事由における故意・過失の要否を問う訴訟を現在係争中でございます(過剰な一般化は避け、現在進行形の議論としてご理解ください)。
当事務所では、松村大介弁護士が全工程を直接担当し、中国語専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格手続も、提携の行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
「示談ができないから不起訴は無理」とあきらめる前に、別の道筋があることを知っていただきたく存じます。被害者なき類型こそ、弁護活動の工夫が結論を分けます。お一人で判断なさらず、早めにご相談いただければと存じます。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。
過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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