舟渡国際法律事務所

退去強制事由に「故意・過失」は要らないのか|他人の在留資格取得への「関与」をめぐる論点(当所D-2事案を中心に)

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退去強制事由に「故意・過失」は要らないのか|他人の在留資格取得への「関与」をめぐる論点(当所D-2事案を中心に)

退去強制事由に「故意・過失」は要らないのか|他人の在留資格取得への「関与」をめぐる論点(当所D-2事案を中心に)

2026/05/29

退去強制事由に「故意・過失」は要らないのか|他人の在留資格取得への「関与」をめぐる論点(当所D-2事案を中心に)

本記事は、本ブログが独自に重視してきた論点、すなわち「退去強制という行政処分の判断に、故意・過失は要らないのか」という問いを、制度の観点から掘り下げる解説記事です。やや専門的な内容を含みますが、外国人当事者・ご家族の権利に直結する重要なテーマですので、できる限り平易に整理いたします(2026年5月時点の解説です)。

1. 刑事と入管で異なる「責任」の扱い

刑事事件では、ある行為を処罰するために、故意・過失という主観的要素を検討するのが当然の出発点です。「責任なくして刑罰なし」という責任主義の表れです。ところが入管実務では、退去強制事由の判断にあたり、故意・過失の有無は要件とされないという運用が、長年踏襲されてきました。

たとえば、他人の在留資格の不正な取得に「関与」したとされる類型では、本人がどこまで事情を認識していたかを刑事で争っても、入管手続では「客観的に関与の事実があった」と評価されれば退去強制事由に該当する、という構造です。

2. この運用が孕む憲法上の問題

退去強制は、当事者の生活基盤を根底から奪う重大な処分です。それを、本人の認識・落ち度を一切問わずに「客観的事実のみ」で判断してよいのか。ここには、責任主義の射程を行政処分にどこまで及ぼすべきかという、憲法論・行政法論の根本問題が潜んでいます。故意・過失なき不利益処分は、適正手続を定める憲法31条、個人の尊重を定める憲法13条、平等原則を定める憲法14条1項との関係でも、検討に値する論点です。

3. 当所が現在係争中の論点(D-2事案)

松村大介弁護士は、冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した女性を救済する訴訟(当ブログでいう事例D-2)において、まさに「退去強制事由にも故意・過失を要件とすべきではないか」という論点を正面から問うています。これは、責任主義の射程を行政処分にまで及ぼそうとする、当事務所独自の弁護方針の現実の現れです。本件は係争中であり、結論を先取りするものではありませんが、論点の重要性は強調しておきたいところです。

4. 刑事弁護の段階から備える三重の防御線

将来的に退去強制へ発展し得る刑事事件では、刑事の段階から次の備えが重要です。第一に、刑事の構成要件該当性において、故意・過失(特に認識の有無)の不存在を徹底して主張・立証すること。第二に、仮に有罪となった場合に備え、入管手続で責任主義違反を主張できるよう証拠を残すこと。第三に、入管手続では、過去の入管庁公表事例から同種事情の許可実績を抽出し、平等原則の観点からも在留を求めることです。

5. 当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士は、刑事と入管を貫く一体の弁護を実践しております。

観光目的で来日し在留資格を失った相談者について、入管当局の過去の許可事例を分析し、難関とされた在留特別許可を獲得した事例がございます。また、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で無罪判決を獲得するなど、主観的要素を丁寧に争う刑事弁護の実績も有しております。これらの経験が、退去強制事由における故意・過失要件論という独自のアプローチを支えています。

当事務所では、松村大介弁護士が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しております。刑事終結後の在留資格手続も、提携の行政書士と連携して対応いたします。

6. おわりに

「故意も過失もないのに、生活の基盤を奪われてよいのか」。これは、一人の当事者の素朴な訴えから始まる、しかし制度の根幹に関わる問いです。当事務所は、この問いを諦めずに問い続けてまいります。同種の不安を抱えていらっしゃる方は、どうぞご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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