不法残留(オーバーステイ)が発覚したご本人・ご家族へ|出頭と摘発で結果が変わる初動の選択
2026/05/28
不法残留(オーバーステイ)が発覚したご本人・ご家族へ|出頭と摘発で結果が変わる初動の選択
一、近時の同種報道と当事務所への相談
先日も、新潟県長岡警察署が、2023年11月に短期滞在で来日した後、在留期間更新を行わないまま長期間滞在を続けた中国籍男性を、入管法違反(不法残留)の容疑で逮捕した旨が報じられました。同種の報道は全国で頻発しており、当事務所にも毎月のように「在留カードの期限は切れているが本人はまだ日本にいる、もう数ヶ月経ってしまった、どうすればよいか」とご家族からご相談をいただきます。本記事は、こうした不安を抱えるご家族・ご本人に向けた一般的な解説です。
二、不法残留はなぜ刑事事件なのか
在留期間を経過した後も日本に留まり続けることは、入管法70条1項5号の「不法残留罪」に該当し、法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可)です。同時に、入管法24条4号ロの退去強制事由にも該当します。刑事処罰と行政処分(強制送還)は二本立てで進行しうるため、どちらか一方だけに目を奪われて初動対応を誤ると、取り返しがつかない結果となりかねません。
三、出頭か摘発か、で結果は構造的に異なる
不法残留事件において、ご本人が自ら入管局に「出頭」する場合と、警察・入管に摘発される場合とでは、その後の処理に構造的な差異が生じます。出頭の場合、在留特別許可・出国命令等の比較的穏当な処理が見込まれる場面が多いのに対し、摘発の場合は原則として退去強制手続へと進みます。ただし、「出頭」の時期・方法も誤れば直ちに収容となるリスクがあり、必ず弁護士の指導の下で行うことが肝要です。
四、ネットの情報や同郷の方の助言で動かないでください
「しばらく身を隠す」「偽装結婚で在留資格を取り直す」「偽造在留カードを買う」、こうした「方法」は、ほとんどの場合事態を悪化させ、そのこと自体が新たな刑事犯罪(電磁的記録不正作出罪、公正証書原本不実記載罪、偽装結婚関連罪等)を構成します。何らかの行動を起こされる前に、入管法に精通した弁護士に守秘特権のある相談を経ていただくことが、結果として最も損失の小さい道です。
五、なぜ不起訴処分が外国人事件で決定的なのか
不法残留事件において、起訴され拘禁刑(執行猶予付きであっても)の判決を受けた場合、入管法24条4号ロの退去強制事由に該当する可能性が残ります。そのため、捜査段階で不起訴処分(起訴猶予)を獲得することが極めて重要です。当事務所では、検察官面談、意見書提出、在日期間・家族関係・納税状況等の有利情状の整理を通じて、不起訴処分の獲得に全力を尽くします。
六、初動対応で押さえておきたい三つのポイント
第一に黙秘権の行使、警察・入管の取調べに対し、弁護士の立会いがない段階で詳細な供述に応じない。第二に早期の弁護人選任、当番弁護士制度または私選弁護人を、勾留段階で速やかに選任する。第三に通訳の質、捜査機関側の通訳によるニュアンスのズレが供述調書に不利な形で残ることがあるため、弁護人側で独自に通訳を確保することが望ましい。
七、当事務所の弁護方針と解決事例
不法残留事件をお引き受けする際、当事務所は次の三段構えで弁護活動を行います。第一に、刑事手続段階では不起訴処分または起訴猶予の獲得に全力を注ぎ、刑事記録が後の在留特別許可申請の負担とならないよう配慮します。第二に、これと並行して在留特別許可申請書面の準備を進め、入管庁公表の過去許可事例(憲法14条1項の平等原則)を申請の論旨の中核に据えます。第三に、家族構成・在日期間・納税状況・前科前歴等の事実関係について、立体的な証拠保全を行います。
当事務所の松村大介弁護士は、短期滞在で来日された依頼者が日本人女性との間にお子様を授かったものの婚姻・認知の手続が未了であった事案において、憲法的観点から入管当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管庁公表の過去許可事例を分析した上で、1発で在留特別許可を獲得した実績がございます(事例D-1)。
また、不法就労助長罪により冤罪で起訴され強制退去の危機にある女性の事案(事例D-2)では、「退去強制事由の判断にも故意・過失要件が必要である」との主張を展開する訴訟を係争中であり、責任主義の射程を行政処分に及ぼす試みを続けております。
結語
不法残留事件において、「今出頭すれば直ちに勾留されるのか」「強制送還を避けることはできるのか」といったご質問への答えは、家族構成・在日期間・違反期間の長短等によって結論が大きく異なり、一律の答えはございません。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
当事務所の最大の特徴
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行は行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------