替え玉受験で逮捕された中国籍の方とご家族へ|私文書偽造・偽造在留カード行使罪と退去強制リスク
2026/05/27
替え玉受験で逮捕された中国籍の方とご家族へ|私文書偽造・偽造在留カード行使罪と退去強制リスク
1. はじめに
先月、関東圏の私立大学入試において、本人になりすまし試験を受けようとした中国籍の塾講師が私文書偽造・同行使罪等の疑いで逮捕されたとの報道がございました。真正の受験生と被疑者が試験会場の同じ席に居合わせたことが発覚の契機であった、と各社が伝えております。
このような替え玉受験事案は、当事者・ご家族にとって単なる「試験の不正」として片付けられる問題ではございません。私文書偽造・有印公文書偽造、偽造在留カードの所持・行使、組織犯罪関与の嫌疑、さらには退去強制リスクまで、複数の論点が幾重にも重なる類型でございます。本記事では、報道された個別事案には踏み込まず、同種類型として一般化した形で、ご本人・ご家族が押さえておくべき論点をご説明いたします。
2. 想定される刑事手続の流れ
替え玉受験事案で問題となる主たる罪名は、私文書偽造罪・同行使罪(刑法159条・161条/法定刑:3月以上5年以下の拘禁刑)でございます。偽造在留カードを試験会場に持ち込んで提示した場合は、入管法上の偽造在留カード所持・行使罪が併合罪として加わる可能性がございます。さらに、組織的な金銭授受の背景がある場合は、業務妨害罪・有印私文書偽造の共謀共同正犯としての立件もあり得るところでございます。
逮捕後72時間以内に検察官への送致がなされ、検察官は24時間以内に勾留請求の要否を判断いたします。勾留期間は最大20日間でございますが、罪名が複数になる場合、再逮捕により身柄拘束が長期化することも珍しくございません。この間における黙秘権の行使、捜査機関側の通訳人とのやり取り、被疑事実の認否のしかたが、後の不起訴・有罪・量刑の判断を大きく左右いたします。
3. 外国人事件特有のリスク(退去強制)
入管法24条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由として定めております。私文書偽造罪の単独事案では1年を超える拘禁刑が言い渡される蓋然性は必ずしも高くございませんが、有印公文書偽造罪・業務妨害罪等との併合罪となれば、刑期が累積的に重くなり、4号リに該当するリスクが現実化いたします。執行猶予が付されても、刑期そのものが1年超であれば、4号リに該当する点には特に注意が必要でございます。
なお当事務所では、現在「退去強制事由の判断にも責任主義の射程が及ぶべきではないか」という論点を正面から問う訴訟を係争中でございます(事例D-2)。組織的に誘導された当事者について、客観的事実のみで退去強制を認定するのではなく、故意・過失(とりわけ認識可能性)の有無を慎重に審査すべきであるとの主張でございます。本論点は現在進行形の議論でございますので、断定的予測は避けますが、刑事弁護の段階から関連証拠を残しておくことが、後の入管手続における第二・第三の防御線の準備として決定的に重要でございます。
4. 不起訴処分を最優先目標とする弁護方針
替え玉受験事案における不起訴判断では、犯意の内容(指示役による欺罔・脅迫的状況、報酬の有無、真正受験生との事前意思連絡の有無)、被害大学の被害感情、損害賠償の有無等が総合的に勘案されます。当事務所では、起訴前段階から検察官に対し、被疑者の主観的事情(試験対策業務委託と誤信した可能性、偽造在留カードの来歴に対する認識の程度等)を丁寧に説明する意見書を提出し、被害大学との示談交渉も並行して進めることで、起訴猶予・嫌疑不十分の処分獲得を目指します。
「執行猶予で済めば十分」というご判断は、外国人刑事事件において致命的な結果を招くことが少なくございません。執行猶予判決を獲得したとしても、入管法24条4号リの要件に該当すれば、退去強制手続は別途進行いたします。したがいまして、起訴前段階での不起訴処分獲得こそが、在留資格を守るための真の到達目標でございます。
5. 初動対応で押さえておきたい3つのポイント
- 黙秘権の行使:弁護人選任前の取調べにおいては、SNSでの勧誘経過、組織との連絡方法、報酬授受の事実関係等、争点となりうる事項について、安易な供述をなさらないことが肝要でございます。
- 早期の弁護人選任:当番弁護士制度は初動の一時的対応に過ぎず、勾留段階から私選弁護人の選任をご検討ください。当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。
- 経験ある通訳の手配:警察・検察が指定する通訳人は法律用語の専門家とは限らず、私文書偽造の故意のニュアンスが訳出時にずれることもございます。当事務所には、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しております。
6. 当事務所のご案内と解決事例
当事務所(東京都豊島区高田、舟渡国際法律事務所)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野としております。本件類型に近接する解決事例として、下記の2件をご紹介いたします。
【事例D-1:難関な在留特別許可を「1発」で獲得】観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったが、在留資格を喪失し不法滞在で逮捕・起訴された事案でございます。婚姻・認知の手続が未了であったため当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的観点から当局と交渉して婚姻・認知を成功させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を実施。困難な状況下でも、依頼者に有利な証拠を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1発で在留特別許可を獲得いたしました。
【事例E-1:裁判員裁判対象事件・世界的に報道された重大事件への対応】国際刑事事件、裁判員裁判対象事件、世界的に報道された事件への対応経験が豊富であり、中国籍の方の重大事件にも数多く対応してきた実績がございます。替え玉受験事案でも、組織犯罪関与の嫌疑が浮上した場合に同様の知見が活きます。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。提携の行政書士による在留資格・ビザサポートにも対応いたします。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。外国人刑事事件においては、初動接見と不起訴処分の獲得が退去強制リスクの分水嶺となります。当事務所は、依頼者ご本人・ご家族の素朴な訴えから出発し、最後まで誠実にお力添えいたします。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京を中心に刑事事件の弁護
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