中国籍の方の闇バイト型住居侵入強盗事案|組織的犯罪処罰法3条・刑法60条共謀共同正犯の構造
2026/05/26
中国籍の方の闇バイト型住居侵入強盗事案|組織的犯罪処罰法3条・刑法60条共謀共同正犯の構造
近時、警視庁および各道府県警が、SNSで募集される「闇バイト」を媒介とする住居侵入強盗事案を相次いで摘発しております。指示役がTelegram・Signal等の暗号化通信で実行役・見張役・運転役・現金回収役を統括する高度に組織化された構造でございます。当事務所の松村大介弁護士のもとへも、この類型の事案に関するご相談が増加してまいりました。中には、中国籍の留学生・在日中国人の若年層が巻き込まれてしまうケースも少なくございません。本記事では、こうした事案の罪名構造・主観的要件をめぐる争点・退去強制リスクについて、一般的な解説として整理させていただきます。
1.罪名構造 ― 住居侵入強盗と組織的犯罪処罰法3条加重
闇バイト型住居強盗事案で問題となる主たる罪名は、(1)刑法130条の住居侵入罪(3年以下の拘禁刑)、(2)刑法236条の強盗罪(5年以上の拘禁刑)、(3)刑法240条の強盗致死傷罪(致傷は無期または6年以上の拘禁刑、致死は無期または死刑)、(4)組織的犯罪処罰法3条1項6号の団体活動としての強盗加重罪(強盗罪の法定刑の下限を7年に引き上げ)でございます。これに加え、凶器を使用する事案では、刑法243条の強盗予備罪(2年以下の拘禁刑)および凶器準備集合罪(刑法208条の3)等が併合審理されます。
2.主観的要件の争点 ― 共謀共同正犯における「共同実行の意思」
闇バイト型事案では、参与者が募集段階において具体的な犯罪計画を認識していないことが少なくありません。多くの場合、参与者は「現金回収の運搬」「車両運転」程度の軽易な労務として理解しているにすぎません。しかしながら、検察実務では、刑法60条の共謀共同正犯法理に基づき、参与者全員を強盗罪の正犯として処罰するのが通例でございます。ここで弁護人の核心的争点は、「共同実行の意思」という主観的要件 ― 参与者がどの範囲の行為について共同実行の意思を有していたかの精緻な分析 ― にございます。
3.外国人特有の退去強制リスク
強盗罪の法定刑の下限は5年の拘禁刑、組織的犯罪処罰法3条加重後は7年の拘禁刑でございます。これは入管法24条4号リの「1年を超える拘禁刑」要件をはるかに超えております。さらに、下限が3年を超える場合は刑法25条1項の執行猶予可能期間上限を超えるため、原則として執行猶予判決を獲得することはできません。仮に強盗未遂・住居侵入単独罪のみで執行猶予判決を獲得した場合でも、4号リは直ちに発動いたします。
4.不起訴処分獲得の困難性と「主観的要件争点化」の意義
強盗罪・組織的犯罪処罰法3条加重案件において、不起訴処分の獲得は極めて困難でございます。しかしながら、当事務所では「主観的要件の徹底的争点化」戦略を堅持しております。具体的には、(1)依頼者が募集段階で受け取った指示内容・提示された報酬額・通信履歴の精緻な整理、(2)依頼者が凶器使用・脅迫の行使を具体的に認識していたかの分析、(3)「強盗」の故意の不存在 ― 「窃盗・侵入」の故意のみが存在したとの縮小事実認定の主張、(4)組織内の地位の上層に位置する実行役・指示役との主観的要件の差異の対比、を行ってまいります。不起訴処分の獲得が達成できない場合であっても、罪名の縮小(強盗から窃盗)・量刑の短縮・組織的犯罪処罰法3条適用の回避により、4号リの絶対的発動を回避することが可能となります。
5.初動対応で押さえておきたい三つのポイント
第一に、「誰の指示か」「なぜ応募したか」「報酬はいくらか」「事前にどこまで認識していたか」といった質問について、徹底的に黙秘権を行使することでございます。第二に、依頼者が所持していた携帯電話・通信記録の保存でございます。警察に押収された後、暗号化通信内容の解析が弁護戦略を直接左右いたします。第三に、経験ある中国語通訳の確保でございます。強盗罪・組織的犯罪処罰法の用語の精度は極めて高く、訳のずれが供述調書の内容に直接影響いたします。
6.当事務所の解決実績と体制
事例B-1としては、特殊詐欺の出し子行為に関わったとされた20代女性につき、指示役の欺罔・脅迫的状況・犯意の不存在を総合的に主張立証し、不起訴処分を獲得した事例がございます。事例B-2としては、特殊詐欺受け子で複数回再逮捕された事案について、徹底した取調べ対応・違法取調べへの抗議・主張立証を通じて、全件について不起訴処分を獲得した事例がございます。事例E-1としては、国際刑事事件・裁判員裁判対象事件・世界的に報道された重大事件への対応経験が豊富でございます。組織的犯罪処罰法3条加重・強盗罪の重大事案にも、当事務所は正面から対応してまいりました。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しております。また、提携の行政書士と協働し、刑事手続終了後の在留資格更新・変更等の手続にもワンストップで対応してまいります。
7.結語
闇バイト型住居強盗事案の核心は、「共同実行の意思」という主観的要件 ― 参与者がどの範囲の行為について共同実行の意思を有していたかの精緻な分析にございます。当事務所が堅持する「主観的要件の徹底的争点化」と「組織的犯罪処罰法3条加重の回避」戦略は、中国籍の方々の在留資格を守り、強制送還を回避するための多重防御線の核心でございます。同種事案でお悩みの方々におかれましては、どうぞ早期に当事務所へご相談くださいますようお願い申し上げます。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者情報
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野といたしております。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有しております。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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