舟渡国際法律事務所

中国籍の方が電車内「痴漢」嫌疑で逮捕された場合の刑事弁護と在留資格防衛

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中国籍の方が電車内「痴漢」嫌疑で逮捕された場合の刑事弁護と在留資格防衛

中国籍の方が電車内「痴漢」嫌疑で逮捕された場合の刑事弁護と在留資格防衛

2026/05/15

中国籍の方が電車内「痴漢」嫌疑で逮捕された場合の刑事弁護と在留資格防衛

1. はじめに

朝の通勤ラッシュ時の山手線、深夜の中央線車内において、日本の警察が「痴漢」(電車内身体接触型の不同意わいせつ、又は都道府県迷惑防止条例違反)の嫌疑で現行犯逮捕する事案は、毎日のように発生しております。被害申告が事実上唯一の直接証拠となるケースが多く、被疑者の「何もやっていない」という弁解は、勾留質問の場で直ちに採用されることが極めて稀でございます。

本記事は、在日中国籍のご当事者・ご家族の方々に向けて、本類型の刑事手続の流れ、退去強制リスク、起訴前段階での不起訴処分獲得の要点、当事務所の「刑事段階―入管段階―在留特別許可段階」の三重防御線弁護方針を整理するものでございます。

2. 刑事手続の流れ

現行犯逮捕の後、48時間以内に検察官送致がなされ、検察官は24時間以内に裁判官に勾留請求を行います。裁判官は通常10日間の勾留決定を出し、さらに10日間の延長を認める場合がございますので、最長で20日間の身柄拘束となり得ます。この間、被疑者は社会復帰が困難となり、勤務先・学業・ご家族関係に重大な影響が及びます。

「痴漢」事案は客観証拠に乏しい類型でございまして、被害者供述が最重要の証拠材料となることが少なくございません。否認するか、応答するか、いつ何を述べるかという初動の判断が事件の帰趨を直接決定いたします。専門の弁護人が介入する前に不利な供述調書に押印してしまうリスクが極めて高く、したがいまして、初動段階での黙秘権の徹底行使と早期の弁護人選任が決定的に重要となります。

3. 外国人事件特有の退去強制リスク

日本の現行不同意わいせつ罪(刑法176条)の法定刑は「6か月以上10年以下の拘禁刑」でございます(拘禁刑は令和7年6月施行の改正刑法により導入された統一的自由刑)。有期拘禁刑の上限が10年に及ぶ重罪類型でございまして、1年を超える実刑(執行猶予なし)に処せられた場合、入管法24条4号リの退去強制事由に直接該当いたします。

4号リの適用については、執行猶予全部が付された場合に除外規定が設けられておりますが、判決言渡しから確定までの期間、執行猶予期間中の再犯リスク、在留資格更新時の「素行不良」評価等を通じて、長期的な在留資格喪失リスクは消滅いたしません。都道府県迷惑防止条例違反(いわゆる「軽い痴漢」)の場合でも、罰金刑の前科は在留資格更新時の重大なマイナス要素となります。

さらに当事務所が独自に展開しております論点として、電車内における身体接触は、ラッシュ時の不可避的接触と犯意ある故意の身体接触との境界が極めて曖昧であるという問題がございます。刑事段階で構成要件該当性(特に未必の故意)の不存在を徹底的に争うことは、刑事事件それ自体にとって有益であるのみならず、将来の入管手続段階における「退去強制事由の判断にも故意・過失要件が及ぶべきではないか」という議論の準備としても決定的に重要でございます。本論点は、当事務所松村大介弁護士が不法就労助長事案(事例D-2)において正面から問うている係争中の論点であり、責任主義の射程を行政処分にどこまで及ぼすかという憲法論・行政法論の根本問題を含んでおります。

4. 不起訴処分の重要性

「痴漢」事案におきましては、起訴されること自体が在留資格に致命的な影響を及ぼし得ます。仮に最終的に罰金刑略式命令で済んだとしても、前科記録は消えず、在留資格更新時の素行審査に長期にわたり影響いたします。不同意わいせつ罪で正式起訴された場合は、実刑判決の現実的なリスクが生じ、入管法24条4号リの退去強制事由と直結いたします。

したがいまして、外国人ご当事者の弁護活動は、「起訴前段階での不起訴処分獲得」を最優先目標として組み立てる必要がございます。「執行猶予判決の獲得」を成果と位置づける弁護方針は、入管法24条各号の構造(特に4号リの「無期又は1年を超える拘禁刑」要件、4号チの「薬物関係の有罪」要件)に対する把握が不十分であることを示唆するものであり、結果としてご依頼者の在留資格喪失・強制送還につながる重大な弊害をもたらす危険がございます。

当事務所では、検察官面談・被害者代理人との接触・示談交渉・被害弁償の供託・嘆願書の提出・ご依頼者の素朴な訴え(混雑時の不可避的接触であった旨等)の組織的反映等を通じて、起訴前段階での不起訴処分獲得を目指しております。

5. 初動対応の三つのポイント

(1)黙秘権の徹底行使:警察取調官の「素直に認めれば早く帰宅できる」「家族に迷惑をかけたくないだろう」等の説得は、外国人ご当事者を最も追い詰める典型的な手法でございます。安易な自白調書への押印は、後日いかに優秀な弁護人が介入したとしても挽回が極めて困難な結果をもたらします。

(2)48時間以内の早期弁護人選任:当番弁護士制度または私選弁護人の選任を、逮捕直後の48時間以内に必ず行うことが重要でございます。最初の48時間の弁護方針が、不起訴処分獲得の成否を大きく左右いたします。

(3)経験ある中国語通訳の確保:警察・検察の指定通訳は、必ずしも法律用語の専門家ではなく、北京語・広東語・上海語等の方言への対応が不十分なケースもございます。通訳を介した供述調書のニュアンスのズレは、後の公判で致命傷となり得ます。当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関側の指定通訳とは別に、ご依頼者本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。

6. 当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍のご依頼者を中心とする外国人刑事弁護に豊富な実績を有しております。下記の解決事例は、「痴漢」類型事案の争点構造と密接に関連いたしますので、ご参考までにご紹介申し上げます。

【事例A-1:覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得】報道された重大事件・裁判員裁判対象事件におきまして、徹底的な証拠分析と被告人質問・反対尋問により、無罪判決を獲得した実績がございます。「痴漢」事案におきましても、被害者供述の客観性検証・矛盾点の指摘・実刑回避は、同じ公判弁護能力に依拠するものでございます。

【事例G-2:盗撮被害者代理人として示談金300万円獲得】深夜盗撮被害事件におきまして、被害者代理人として300万円の慰謝料示談を成立させた実績がございます。被害者代理人と被疑者弁護人の双方の視点を有する当事務所は、「痴漢」事案の示談交渉におきまして、被害者代理人側の心理と戦術を的確に把握できる強みがございます。

【事例D-1:観光来日中国籍当事者の難関在留特別許可「1発」獲得】観光目的で来日されたご依頼者が日本人女性との間に子を授かりましたが、在留資格を喪失し不法滞在で逮捕・起訴された事案におきまして、婚姻・認知手続を併行的に進めながら、入管法違反の刑事公判を見据えた被告人質問・証人尋問を行い、1発で在留特別許可を獲得した実績がございます。「痴漢」事案で万一実刑判決を受けて退去強制手続に進んだ場合でも、入管庁公表事例から同種事案の許可実績を抽出して在留特別許可申請を組み立てることが可能でございます。

【事例D-2関連:不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可獲得(係争中)】冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕する女性を救済する裁判におきまして、当事務所松村弁護士は「退去強制事由の判断における責任主義の射程」を問う訴訟を提起し、入管段階の実務において前例のない在留特別許可獲得を達成いたしました。本実績は、刑事段階で構築した「故意・過失の不存在」の論争構造を、入管段階で「責任主義違反」として展開する三重防御線の現実の結実でございまして、「痴漢」事案におきましても同一の構造を適用可能でございます。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、ご依頼者本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。あわせて、提携の行政書士による在留資格の更新・変更等についても、刑事手続終了後にワンストップで対応可能でございます。

7. 結語

「痴漢」事案におきましては、逮捕直後48時間以内の黙秘権の徹底行使と弁護人選任が、不起訴処分獲得と在留資格防衛の成否を分けます。被害者申告の客観性の争点化、ラッシュ時の不可避的接触の主張立証、示談交渉と被害弁償の供託、入管手続を見据えた一貫した戦略立案、いずれも欠くことができない要素でございます。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、本記事に記載した過去の解決事例は、個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者情報

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍のご依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得、不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可獲得等の解決実績を有する。

連絡先

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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