中国籍留学生・若年層の方が大麻所持で逮捕された場合――薬物事犯の退去強制必至リスクと不起訴処分獲得
2026/05/15
中国籍留学生・若年層の方が大麻所持で逮捕された場合――薬物事犯の退去強制必至リスクと不起訴処分獲得
1. はじめに
日本の大麻取締法、覚醒剤取締法等の薬物関係法令は、入管法24条4号チが規定する「薬物関係の有罪判決」の対象類型に属しております。その特徴は極めて厳しく、執行猶予判決を獲得しても直接的に退去強制事由に該当いたします。中国本土において薬物犯罪が厳しく取り締まられている文化的背景と、日本の若年層の間で「ハイ草」「嗨草」等の表現で娯楽的に使用されている社会現象との間には、大きな認知のギャップがございます。
本記事は、来日された中国籍の留学生・若年層の在日中国人の方々、ならびに中国本土に居住されるご家族の方々に向けて、大麻取締法違反事案の刑事手続、4号チ適用の必至性、起訴前段階での不起訴処分獲得の核心要点を整理するものでございます。
2. 大麻取締法等の法定刑と4号チ適用の構造
現行大麻取締法の処罰構造の概要は次のとおりでございます。すなわち、単純所持・使用は「7年以下の拘禁刑」(24条の2第1項。令和5年改正後の新条文)、営利目的の所持・栽培・輸出入は「1年以上10年以下の拘禁刑及び300万円以下の罰金の併科」(24条の2第2項及び24条1項・2項)でございます。覚醒剤取締法上の単純所持は「10年以下の拘禁刑」、営利目的所持は「1年以上の有期拘禁刑及び500万円以下の罰金の併科」でございます。なお、「拘禁刑」は令和7年6月施行の改正刑法により導入された統一的自由刑でございます。
入管法24条4号チの特殊性は、4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑)と異なり、刑期の長短を要件としない点にございます。換言いたしますと、刑期の長短や執行猶予の有無を問わず、薬物関係の有罪判決(罰金刑を含む)が言い渡された場合、原則として退去強制事由に該当いたします。「執行猶予判決が付されたから日本に居られる」という安心論は、薬物事案におきましては完全に成立いたしません。
3. 起訴前不起訴処分獲得の必至性
4号チは刑期に関する要件を設けておりませんため、薬物事案におきましては、「執行猶予判決を獲得すること」が在留資格防衛にとって意味を持ちません。仮に裁判所が最大限の執行猶予を付したとしましても、依然として退去強制手続に進むことが必至でございます。在留資格を防衛する唯一の路径は、起訴前段階で「嫌疑不十分」又は「起訴猶予」の不起訴処分を獲得することにございます。
入管法に通暁していない弁護人が「執行猶予の獲得」を目標として弁護活動を組み立てた場合、事実上、在留資格の防衛を放棄することと同義となります。当事務所松村大介弁護士は、「起訴前段階での不起訴処分獲得」を薬物事案の最優先目標として位置づけ、刑事段階での主張立証の機会を一切放棄いたしません。
4. 不起訴獲得のための具体的活動
当事務所が薬物事案において常用しております弁護活動には、次のものが含まれます。すなわち、(1)所持事実そのものの否認(家宅捜索令状の合法性の争点化、被疑者の所持物品に対する認識不十分論の展開)、(2)営利目的の否認(数量・包装形態・所持金銭・SNS上の交信記録等の証拠の一つ一つの争点化)、(3)使用故意の否認(自宅栽培事案における「観賞用植物と認識していた」等の主観的要件の争点化)、(4)共謀共同正犯の争点化(同居人・友人との間の所持物品の帰属・認識不十分論)、(5)違法捜査の主張(持続的監視、不当な任意同行、違法な家宅捜索等の指摘)でございます。
あわせまして、ご依頼者の素朴な訴え(「中国本土において大麻の使用が合法ではないことは知らなかった」「日本の処罰の厳しさを十分に認識していなかった」等)も、起訴猶予の考慮要素として、検察官に向けて理路整然と伝えることが可能でございます。
5. 初動対応の三つのポイント
(1)黙秘権の徹底行使:薬物事案におきましては、所持事実そのものについての認識が構成要件該当性の核心的争点となります。「事前に知っていた」等のいかなる供述も、有罪認定の決定的証拠になり得ます。専門の弁護人が介入する前には、いかなる陳述も避けるべきでございます。
(2)48時間以内の私選弁護人の選任:薬物事案では、当番弁護士(公選)の段階で既に勝敗が決まる場合がございます。松村弁護士と同等水準の専門弁護人であれば、最初の接見において即座に争点構造を把握し、黙秘方針を明確に伝え、ご依頼者と暗号化された中国語で意思疎通を図ることが可能でございます。
(3)経験ある中国語通訳の確保:薬物事案における専門用語(「営利目的」「未必の故意」「共謀共同正犯」等)は、一般の通訳者の水準を超えております。当事務所の中国語専属通訳は、刑事・入管双方の専門用語に精通しており、ご依頼者に弁護方針の細部を完全に理解していただくことが可能でございます。
6. 当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、薬物事案におきまして突出した実績を有しております。下記の解決事例は、大麻所持・栽培事案と密接に関連いたします。
【事例A-1:覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得】当事務所の薬物事案領域における代表的実績でございます。営利目的の薬物事犯は法定刑が極めて重い重罪類型でございまして、執行猶予の獲得も容易ではない類型ですが、当事務所は徹底的な証拠分析、捜査の違法性の指摘、所持の故意・営利目的の不存在の主張立証を通じて、裁判員裁判対象事件において無罪判決を獲得しております。「大麻所持」事案にも本弁護能力を全面的に活用することが可能でございます。
【事例D-2関連:不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可獲得(係争中)】薬物事案と不法就労助長事案とは罪名は異なりますものの、「退去強制事由の判断に故意・過失要件が及ぶべきか」という論点構造は完全に同一でございます。当事務所はD-2事案において、入管段階の実務上初めて「前例のない在留特別許可獲得」を達成し、刑事段階で構築した「故意・過失不存在」の論争構造が、入管段階において「責任主義違反」の名の下に展開可能であることを示しました。薬物事案が万一退去強制手続に進んだ場合でも、当事務所は同一の三重防御線に立脚して弁護活動を展開いたします。
【事例D-1:観光来日中国籍当事者の難関在留特別許可「1発」獲得】観光目的で来日されたご依頼者が入管法違反・不法滞在で逮捕・起訴された事案におきまして、当事務所は婚姻・認知手続を併行的に進めながら、入管を意識した被告人質問・証人尋問を刑事公判で実施し、1発で在留特別許可を獲得した実績がございます。大麻事案でも退去強制手続に進む場合は、入管庁公表事例の分析に基づき、在留特別許可申請を組み立てることが可能でございます。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、ご依頼者本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。あわせて、提携の行政書士による刑事手続終了後の在留資格の更新・変更等につきましても、ワンストップで対応可能でございます。
7. 結語
薬物事案におきましては、「執行猶予判決を獲得すれば日本に居られる」という安心論は完全に成立いたしません。入管法24条4号チは刑期の長短を問わず、薬物関係の有罪判決全てを退去強制事由として取り扱います。在留資格防衛の唯一の路径は、起訴前段階での不起訴処分獲得でございます。逮捕直後48時間以内の私選弁護人選任と黙秘権の行使が、すべてを決定いたします。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、本記事に記載した過去の解決事例は、個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者情報
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍のご依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得、不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可獲得等の解決実績を有する。
連絡先
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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