舟渡国際法律事務所

中国籍の方の不法残留・オーバーステイ――出頭・自首戦略と在留特別許可獲得への路径

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中国籍の方の不法残留・オーバーステイ――出頭・自首戦略と在留特別許可獲得への路径

中国籍の方の不法残留・オーバーステイ――出頭・自首戦略と在留特別許可獲得への路径

2026/05/15

中国籍の方の不法残留・オーバーステイ――出頭・自首戦略と在留特別許可獲得への路径

1. はじめに

在留期間が満了した後、更新又は変更の手続を行わないまま日本国内に居住される状態は、一般に「不法残留」(オーバーステイ。入管法24条4号ロが規定する退去強制事由)と呼ばれております。当該状態が発覚いたしますと、原則として退去強制手続が開始され、退去後5年間の上陸拒否(入管法5条1項9号)が課されます。

もっとも、日本の入管法には「出頭・自首」に対する優遇制度として、出国命令制度(入管法24条の3)が設けられております。一定の要件を満たす超過滞在者の方は、収容されることなく、15日以内に自主的に出国することができ、上陸拒否期間は1年に短縮されます。本記事では、在日中国籍の超過滞在の方々とそのご家族に向けて、出頭・自首戦略の要点、刑事手続と入管手続との相互関係、ならびに在留特別許可獲得への路径を整理いたします。

2. 出国命令制度(入管法24条の3)の四要件

出国命令制度の法定要件は次の四点でございます。すなわち、(1)自発的に入国管理官署に出頭し、出国意思を表明すること、(2)今回の違反が単純な超過滞在のみであること(すなわち、不法就労助長、薬物事犯、その他の刑事罰対象行為など他の退去強制事由が存在しないこと)、(3)本邦上陸後、本邦で罪を犯して刑罰に処せられた前科がないこと、(4)過去に退去強制・出国命令の実績がないことでございます。

上記四要件を満たし出国命令対象と認定された場合、収容されることなく、15日以内の出国期限が指定されます。自主的に出国した場合の上陸拒否期間は1年でございます。これに対し、入管に摘発された超過滞在者の方は退去強制手続に進み、本邦内での収容を経て送還された後、5年間の上陸拒否が適用されます。両者の差は極めて大きく、ご本人の今後の再入国の路径が完全に異なります。

3. 出頭と刑事手続との相互関係

不法残留は、入管法上の退去強制事由であると同時に、入管法70条1項5号の刑事罰対象(「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科」)でもございます。したがって、出頭・自首の際、理論上は刑事事件として立件される可能性が残ります。

もっとも、実務上、単純な超過滞在の出頭事案については、その大多数が「在留特別許可の不許可+出国命令」又は「在留特別許可の許可」という形で行政的に処理され、刑事事件として立件される率は比較的低くございます。しかしながら、出頭と同時に他の刑事事件の事実(雇用先における不法就労助長罪の嫌疑、その他の犯罪行為の嫌疑等)がある場合は、刑事手続と入管手続が同時並行的に進行することが避けられません。

したがいまして、出頭の前には専門の弁護士による綿密な確認が不可欠でございます。すなわち、単純な超過滞在のみであるか、付随する他の刑事事件の嫌疑はないか、出頭のタイミング・方式・提供する証拠をどのように準備するか、十分な事前検討を要します。

4. 在留特別許可獲得への路径――平等原則の適用

超過滞在の方が、日本国内に日本人配偶者、日本国籍の子、長期の在留実績、人道上の特別な事情等を有する場合は、入管に摘発されたとしても、退去強制手続のなかで「在留特別許可」(入管法50条)が付与され、合法的に日本での生活を継続できる可能性がございます。

出入国在留管理庁は、平成16年以降、許可・不許可事例を年度別に公表してきております。これらの公表事例は、行政自身が過去に同種の事情につき「許可相当」と判断した実績でございまして、先例的意義を有する証拠材料となります。当事務所松村大介弁護士は、在留特別許可事案におきましては、入管庁公表事例の年度横断的分析を必ず実施し、本件と同質の事情を有する許可実績を抽出いたします。

同種事情の許可実績が認められる場合、書面意見書には次の趣旨を明記いたします。すなわち、憲法14条1項の平等原則の要求するところに従い、同種事情には同種の処理がなされるべきであり、本件についてのみ不許可処分を下すことは、合理的理由なき異別取扱いとして憲法上の平等原則に違反する、との主張でございます。

5. 出頭前に必ず確認すべき三つのポイント

(1)共犯・関連犯罪の有無の確認:超過滞在の期間中に不法就労の事実があった場合、「雇用主にも不法就労助長罪の嫌疑が及ぶ」可能性が排除できません。ご本人の出頭が雇用主の逮捕の端緒となる可能性もございます。事前に確認し、入管に表明する範囲を慎重に決定する必要がございます。

(2)家族・関係者の在留資格への影響の確認:超過滞在者のご家族(配偶者、子)が同様に合法の在留資格を有していない場合は、一斉出頭のタイミングと方式を慎重に設計しなければなりません。

(3)証拠・人証の事前確保:婚姻の実質、子の就学、長期の納税・健康保険納付記録、人道上の事情等の「在留特別許可獲得につながる事情」は、出頭前に十分に集積しておくことが重要でございます。一度収容された後では、証拠収集が極めて困難となります。

6. 当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、入管・在留資格事案で豊富な実績を有し、入管行政手続と刑事手続の連動につき独自の優位性を備えております。下記の解決事例は、超過滞在・出頭・在留特別許可類型の事案と密接に関連いたします。

【事例D-1:観光来日中国籍当事者の難関在留特別許可「1発」獲得】観光目的で来日されたご依頼者が日本人女性との間に子を授かりましたが、在留資格を喪失し不法滞在で逮捕・起訴された事案におきまして、婚姻・認知の手続が未了であったため当局から一旦不受理とされたところ、当事務所が憲法学的視座から当局と交渉して婚姻・認知を成功させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を実施いたしました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しないという困難な状況下でも、ご依頼者に有利な証拠を収集し、入管庁公表事例の分析を踏まえて、1発で在留特別許可を獲得いたしました。当事務所の在留特別許可領域における代表的実績でございます。

【事例D-2関連:不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可獲得(係争中)】冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕する女性を救済する裁判におきまして、当事務所松村弁護士は「退去強制事由の判断における責任主義の射程」を問う訴訟を提起し、入管段階の実務において前例のない在留特別許可獲得を達成しました。本実績は重要な意味を有しております。すなわち、超過滞在事案に刑事事件の嫌疑が伴う場合、当事務所は「故意・過失要件論」と「責任主義違反」を支柱に、刑事・入管双方面の弁護活動を展開可能でございます。

【事例A-1:覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得】薬物事案の代表的実績でございます。超過滞在と薬物事案が併存する場合(例えば出頭時に大麻等の所持が発覚した場合)におきましても、当事務所は同等の専門能力で、刑事段階の無罪・不起訴と、入管段階の在留特別許可を併行的に追求いたします。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審、入管手続まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関・入管が指定する通訳とは別に、ご依頼者本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。提携の行政書士による、刑事・入管手続終了後の在留資格更新・変更等にも、ワンストップで対応可能でございます。

7. 結語

不法残留事案におきましては、「摘発されること」と「自主的に出頭すること」の結果の差が極めて大きくございます。前者は5年間の上陸拒否、後者は1年でございます。もっとも、出頭のタイミング・方式・準備すべき証拠の判断は、極めて専門的な領域でございます。ご家族の在日、子の就学、人道上の事情等の在留特別許可獲得につながる事情は、出頭の前に十分集積されるべきです。当事務所は、入管庁公表事例の年度横断的分析、憲法14条1項平等原則による主張構成、刑事手続と入管手続の連動戦略を通じて、ご依頼者の在留資格防衛に全力を尽くしてまいります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、本記事に記載した過去の解決事例は、個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者情報

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍のご依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得、不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可獲得等の解決実績を有する。

連絡先

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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