舟渡国際法律事務所

在留期限切れで職務質問・逮捕されたら ― 中国本土・在日中国籍ご家族へ

お問い合わせはこちら

在留期限切れで職務質問・逮捕されたら ― 中国本土・在日中国籍ご家族へ

在留期限切れで職務質問・逮捕されたら ― 中国本土・在日中国籍ご家族へ

2026/05/19

在留期限切れで職務質問・逮捕されたら ― 中国本土・在日中国籍ご家族へ

1. はじめに

先日、新潟県内において、住民からの「不審者がうろついている」との通報を端緒として、警察官が職務質問を実施し、身分確認の際に在留期限の切れた中国籍の方が出入国管理及び難民認定法違反(不法残留)の容疑で逮捕されたとの報道がございました。同種類型の事件は、毎月、日本各地で数十件規模で発生しております。

中国本土でこの記事をお読みのご家族、日本国内でご家族のために動いておられる方へ。この知らせが届いた瞬間のお気持ちを、当事務所はこれまで多くの依頼者から伺ってまいりました。本記事は、同種類型の案件における手続の流れと論点を一般的・抽象的に整理したものであり、個別事案を断定的に評価するものではございません。

2. 不法残留事案の刑事手続の概略

不法残留罪(入管法70条1項5号)の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(拘禁刑は令和7年6月施行の改正刑法により新設された統一的な自由刑です)。一見すると「軽い罪」と受け止められがちですが、次の二点に留意が必要です。

第一に、逮捕後72時間以内に、警察から検察官へ身柄が送致され、検察官が24時間以内に勾留請求を行うか否かを決定します。勾留が決定すれば原則10日、延長で最大20日の身体拘束となります。この「勾留決定までの72時間」が、その後の事件の方向性を左右する最重要局面です。

第二に、刑事手続が終了したとしても、原則として身柄は警察・検察から入管へ直接引き渡され、退去強制手続が開始されます。刑事段で不起訴処分や起訴猶予を得たとしても、退去強制手続そのものが当然に終了するわけではない点に注意が必要です。

3. 退去強制(強制送還)リスクの構造

入管法24条4号ロは「不法残留」を退去強制事由として列挙しており、この事由は刑事処分の有無・軽重とは独立に判断されます。すなわち、拘禁刑実刑であれ罰金であれ不起訴であれ、「在留期間経過後の残留」という客観的事実が認められれば、退去強制事由には該当することとなります。

もっとも、この構造には重要な例外があります。自主出頭申告のルートをたどった場合と、職務質問等で摘発されたルートをたどった場合とでは、在留特別許可が付与される比率に有意の差があると見られています。出入国在留管理庁は平成16年以降、年度別に「在留特別許可・不許可事例」を公表しており、これらの公表事例は、行政自身が「許可相当」と判断した先例として、後に憲法14条1項(法の下の平等)を根拠とする主張の土台となります。当事務所では、同種事案を受任する際、必ず入管庁公表事例を年度横断的に精査いたします。

4. 不起訴処分の意義と「執行猶予判決=安全」という誤解

「執行猶予判決が付けば日本に居続けられる」というご説明をする弁護士がいると伺うことがありますが、不法残留事案については、この理解は誤りです。

入管法24条4号ロの退去強制事由は、刑罰の有無・重さとは別の論理で判断されます。したがって、刑事公判で執行猶予判決が言い渡されたとしても、退去強制手続はそのまま進行いたします。

正しい弁護方針は、起訴前段階から「不起訴処分の獲得」を最優先目標とし、同時に退去強制段の主張・立証準備を並行して進めることです。執行猶予の獲得を最終目標と位置づけることは、外国人刑事事件においては実質的な失策となりかねません。当事務所では、刑事段と入管段の二重防御線を意識した一貫した戦略を取らせていただきます。

5. 初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。日本国憲法38条1項は、何人も自己に不利益な供述を強要されないことを保障しています。取調官の態度がやわらかいとしても、弁護人が事実関係を全て把握する前の段階での不用意な供述は、後の公判で致命傷となり得ます。

第二に、早期の私選弁護人選任です。当番弁護士は即時利用可能な制度ですが、外国人事件・入管法の解釈に習熟した弁護人を選ぶことが結果を大きく左右いたします。

第三に、通訳の質への注意です。捜査機関が指定する通訳人は、必ずしも法律用語の専門家ではありません。一度署名した供述調書を後の公判で覆すことは極めて困難です。ご家族側で、弁護人の協力の下、独立した中国語通訳を早期に手配することの意義は大きいといえます。

6. 当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする事務所です。

事例D-1:難関な在留特別許可を「1発」で獲得。観光目的で来日された相談者が、日本人女性との間にお子様を授かったものの、在留資格を喪失し不法滞在で逮捕・起訴された事案がございました。婚姻・認知の手続が未了であったため、当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的観点から当局と交渉して婚姻・認知を成功させ、刑事公判での被告人質問・証人尋問を実施し、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも依頼者に有利な証拠を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1発で在留特別許可を獲得いたしました(出典:弁護士ドットコム掲載事例79877号)。

事例D-2:不法就労助長事件における責任主義の論点(係争中)。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性を救済する事案で、松村弁護士は「退去強制事由の判断にも責任主義の射程が及ぶ」「故意・過失なくしての退去強制は許されない」という、従来の入管実務の枠組みを覆す主張を展開しております。本論点は現在係争中ではございますが、関連する在留特別許可手続において、前例のない成果を獲得した実績がございます。同論点は、責任主義の射程を行政処分にまで及ぼす松村流弁護方針の現実の結実であり、不法残留・在留資格関連の事件においても重要な前哨論点となります。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。さらに、提携の行政書士事務所と連携し、刑事手続終了後の在留資格更新・変更・在留特別許可申請等にもワンストップで対応しております。

7. 結語

不法残留事案の処理結果は、「自主出頭」か「摘発」か、「不起訴」か「起訴」かという、いくつかの分岐点で大きく分かれます。「執行猶予判決=在留可能」という誤解は、入管法24条各号の構造に通じていない弁護方針の典型例です。ご家族におかれましては、可能な限り早期に、入管法の解釈実務に通じた弁護士へのご相談をご検討ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。本記事に記載した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

WeChat ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。