舟渡国際法律事務所

日本国内で放火事案(非現住建造物等放火罪・現住建造物等放火罪等)の嫌疑をかけられた中国籍当事者の方とそのご家族へ|重罪法定刑下における退去強制リスクと起訴前不起訴処分獲得の実務

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日本国内で放火事案(非現住建造物等放火罪・現住建造物等放火罪等)の嫌疑をかけられた中国籍当事者の方とそのご家族へ|重罪法定刑下における退去強制リスクと起訴前不起訴処分獲得の実務

日本国内で放火事案(非現住建造物等放火罪・現住建造物等放火罪等)の嫌疑をかけられた中国籍当事者の方とそのご家族へ|重罪法定刑下における退去強制リスクと起訴前不起訴処分獲得の実務

2026/05/11

日本国内で放火事案(非現住建造物等放火罪・現住建造物等放火罪等)の嫌疑をかけられた中国籍当事者の方とそのご家族へ|重罪法定刑下における退去強制リスクと起訴前不起訴処分獲得の実務

一、はじめに|事件構造の広がりと中国籍当事者の方々が巻き込まれる経路

近時、日本国内では北海道地区のリゾート地周辺において、連続する不審火事案が報道されており、警察はその一件につき非現住建造物等放火罪の嫌疑で中国籍男性をひとり逮捕したとのことです。同人は取調べに対し黙秘を続けているとされ、周辺の他の不審火との関連についても引き続き捜査が行われていると報じられています。放火罪は、日本刑法上、極めて重い罪名でございまして、適用条文によっては死刑または無期の拘禁刑にまで達する可能性のある犯罪類型です(参照:刑法108条「現住建造物等放火罪」)。在日中国籍の当事者の方やそのご家族の方々にとって、こうした事案に巻き込まれてしまわれた場合、行為が一時の衝動・飲酒下の失敗・精神的圧迫下の発作的行動であったとしても、直面される脅威は日本国内における重い刑事処分のみにとどまらず、直ちに退去強制(強制送還)の高度なリスクが発生いたします。そして退去強制が執行されますと、基本的にはその後、日本への再入国は永久に閉ざされてしまいます。

放火罪は、他の比較的多くみられる財産犯罪(窃盗・詐欺)とは異なり、抽象的公共危険犯としての性質から、社会的反響が極めて大きく、捜査機関・検察官・裁判所の対応も非常に厳しいものとなる傾向がございます。それゆえ、中国籍の当事者の方が放火罪の嫌疑で逮捕されてしまわれた場合、弁護対応は接見の初動段階から「罪名の軽減化」「不起訴処分の獲得」「在留資格の喪失回避」の三位一体を戦略目標として組み立てる必要がございます。

本記事では、中国籍の放火事件当事者の方とそのご家族の方々を対象として、刑事手続の流れ、退去強制リスク、不起訴処分獲得の実務について、当事務所での経験を踏まえ系統的にご説明申し上げます。

[手続流れ]

放火罪嫌疑事件における日本国内の刑事手続は、おおむね次の段階を経て進行いたします。第一段階(捜査初動)として、消防署による消火・火災原因調査の後、警察が現場遺留物・防犯カメラ映像・目撃証言等から嫌疑者を特定し、現行犯または通常逮捕に至ります。第二段階(逮捕から送致まで)として、警察拘留48時間以内に検察官に送致し、検察官が24時間以内に勾留請求の可否を決定いたします。第三段階(勾留)として、原則10日間、必要に応じてさらに10日間延長され、合計最長20日間の身柄拘束となります。本類型の事件はその性質の重大性から、ほぼすべての事件において勾留請求および延長が行われます。第四段階(起訴・不起訴決定)として、勾留期限満了前に検察官が起訴の可否を決定いたします。放火罪は重罪であるため、起訴率は他の罪名と比べて顕著に高いものでございますが、決して不起訴の余地が皆無というわけではなく、弁護活動の充実度がその分岐点を決します。第五段階(公判・判決)として、起訴後は罪名の構成に応じて、現住建造物等放火罪のように裁判員裁判の対象事件となる場合もございます。

ここで特にご留意いただきたいのは、放火罪嫌疑事件の被疑者は接見の初動段階からほぼ確実に「罪証隠滅のおそれ」を理由として保釈が拒否され、身柄拘束期間が公判結審までの数か月、長い場合には1年以上に及ぶことがある点でございます。中国籍の当事者ご本人にとって、こうした長期身柄拘束による心理的負荷は計り知れず、早期の専門弁護人の介入と中国語専属通訳の確保が決定的に重要となります。

[退去強制リスク]

放火罪が退去強制の観点においていかなる意味を持つかは、「ほぼ一旦有罪となれば入管法24条4号リの要件が直ちに作動する」と要約することができます。すなわち、刑法108条(現住建造物等放火罪)の法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑刑法109条1項(非現住建造物等放火罪)は2年以上の有期拘禁刑刑法110条1項(建造物等以外放火罪)は1年以上10年以下の拘禁刑でございます。最も軽い類型たる刑法110条1項であっても、法定刑の下限は1年以上の拘禁刑でございます。

入管法24条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由として規定しており、宣告刑全部執行猶予(宣告刑1年以下かつ全部執行猶予)が付された場合は除外規定が存しますが、刑法108条・109条1項等の事案では、法定刑の構造上、宣告刑を1年以下に抑えることがほぼ不可能でして、結果として4号リの作動はほぼ必然となります。

さらに、放火現場に他者の負傷・死亡の結果が生じている場合、被告人は刑法108条の「現住建造物等放火致死傷」の加重類型に切り替えられる可能性がございまして、その場合の法定刑は死刑または無期もしくは7年以上の拘禁刑へと跳ね上がります。一旦この適用となれば、在留資格保全はもはや絶望的でございます。

ここで、当事務所がこれまで一貫して主張しております退去強制事由判断における故意・過失要件論もまた、重要な意味を持ちます。放火罪は本質的には故意犯(刑法110条1項に限り過失放火罪の特則は存しますが、日本現行法は独立した過失放火罪を別途規定しており、参照:刑法116条)でございますが、「放火の故意」の認定においては、客体が建造物であることへの認識・結果発生に対する未必の故意等、主観的要件に関する争点が数多く存在いたします。当事務所の松村大介弁護士が現に係争中の事例D-2(不法就労助長罪の故意要件をめぐる責任主義違憲論点を含む)における法理論理は、放火事件における「建造物への認識」「結果発生への未必の故意」等の争点にも応用可能でございます。中国籍当事者の方が実際には飲酒下・極度の精神的圧迫下で行為に及んでしまわれた場合、「故意」要件の否認または「過失放火罪」への転換は、最終結果に極めて大きな違いをもたらします。

[不起訴処分の重要性]

放火罪嫌疑事件における不起訴処分の獲得は、高難度ではございますが決して不可能ではございません。当事務所では従来、「放火罪は重罪であるから」との理由のみで不起訴目標を放棄し、最初から弁護活動を「量刑の軽減」の水準に絞り込むことは、決していたしません。

不起訴を争うための実務的要点としては、第一に犯意の否認、すなわち過失放火罪(刑法116条)または火災管理上の過失への切り替えを争い、現住建造物等放火・非現住建造物等放火等の重罪類型の適用を回避することがございます。第二に建造物性の争点、すなわち放火対象が「建造物」に該当するか、あるいは単なる「物件」に過ぎないか(刑法110条2項の物件放火罪の法定刑は1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金)の認定差が、結論を大きく左右いたします。第三に充実した賠償・和解、すなわち建物所有者・近隣被害者の方々それぞれと賠償和解を成立させ、これを不起訴裁量における核心的情状として活用することがございます。第四に精神鑑定の活用、すなわち嫌疑者の方に精神疾患・アルコール依存症等の背景が確認される場合、責任能力減弱・心神耗弱(刑法39条2項)の主張を行うことでございます。第五に詳細な意見書の提出、すなわち本案の具体的証拠状況・嫌疑者の成育背景・精神状況・在留実情・社会関係の回復見込み等を総合した、検察官への詳細な意見書提出が挙げられます。

執行猶予判決の獲得のみを目標とする弁護方針は、中国籍当事者の方にとってほとんど意味を成しません。先に述べましたとおり、放火罪の法定刑構造上、執行猶予が宣告されたといたしましても、法定刑の下限が1年を超えるため、入管法24条4号リの要件は依然として作動し、結局は退去強制の運命に至るからでございます。したがって、当事務所の弁護戦略は、接見の初動から「不起訴処分」「刑法110条2項の物件放火罪への切り替え」「過失放火罪への切り替え」を最優先目標とし、単に宣告刑の執行猶予のみを追求する方針の落とし穴を回避することを基本としております。

[初動対応3ポイント]

放火罪嫌疑事件における初動対応として、次の3点が特に重要でございます。第一に、黙秘権の毅然たる行使でございます。本類型事件の被疑者の方は、逮捕初期に捜査員から強い圧迫を受け「正直に話してください」と促される場面が多くございますが、放火の故意・建造物への認識等の主観的要件こそが本案最大の争点でございまして、弁護人到着前にこれらの問題にお答えになることは、決してなさらないでください。「建造物だと分かっていた」「延焼することは予見していた」等の供述が一旦調書に記載されますと、後日の翻意が極めて困難となります。第二に、早期の弁護人選任でございます。本類型事件は複雑性が高く、また保釈の難易度も極めて高い(罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれの双方が認定されやすい)ものでして、放火事件・重罪事件の弁護経験を有する弁護人を早期に選任されることが、身柄解放および不起訴獲得の双方にとって決定的な要素となります。第三に、専属通訳の確保でございます。放火罪の故意・建造物への認識等の争点は、中国籍当事者の方ご本人にとって日本法の繊細な概念区分を理解することが極めて困難な領域です。捜査機関指定の通訳人が「認識していたか否か」「予見していたか否か」等の微妙な相違を正確に伝えられない場合、供述調書には嫌疑者の方に極めて不利な内容が記載される危険性がございます。当事務所の中国語専属通訳は、接見・打合せ・検察官調査の全場面に同行可能でして、供述の精度を最初から確保いたします。

[事務所案内]

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が独力で運営する事務所でして、中国籍の依頼者の方々を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野としております。

本所の代表的な解決事例としましては、まず事例A-1として、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)等の重罪・裁判員裁判対象事件において、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得した実績がございます。また、事例E-1として、裁判員裁判対象事件・国際刑事事件・世界的に報道された重大事件における、中国籍依頼者の重大事案への対応実績がございます。さらに、事例D-2としまして、入管法73条の2不法就労助長罪認定事件において、入管実務上前例のない在留特別許可を獲得し、責任主義の射程を行政処分の領域にまで及ぼす論点を、現実の実務において結実させた成果も有しております。これらの経験は、放火事件等の重罪類型にも同様に適用可能でして、特に事例A-1で発揮した「徹底した証拠分析・被告人質問・反対尋問」の実務能力は、放火罪の重罪弁護における核心的戦術として活かされてございます。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。万一、退去強制手続段階に進んでしまった場合にも、事例D-1として困難な事案を「一発」で在留特別許可獲得まで至らせた実績を踏まえ、刑事手続後の入管局面にも一貫して対応可能でございます。提携の行政書士事務所との連携により、刑事手続終結後の在留資格更新・変更等の手続にもワンストップで対応申し上げます。

[結語]

放火罪嫌疑事件は、中国籍の当事者の方とそのご家族の方々にとって、「重刑+退去強制+日本への再入国不能」という三重のリスクが結合した、極めて深刻な類型の事件でございます。この重罪類型におきましては、「執行猶予判決=日本に居住し続けられる」という一般的な理解はもはや通用いたしません。何卒、逮捕された最初の時点から、経験豊富で入管法にも精通された弁護人にご相談いただき、不起訴処分・軽罪化を最優先目標として、最悪の退去強制という結末をお避けいただきますよう、心より願う次第でございます。

本記事は一般的な解説でございまして、個別の事案については弁護士に直接ご相談くださいますようお願い申し上げます。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものでございまして、同様の結果を保証するものではございません。

[執筆者]

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得、不法就労助長罪認定事件における前例のない在留特別許可獲得等の解決実績を有する。

二、刑事手続の流れ(逮捕から起訴までの概要)

三、退去強制(強制送還)リスクの多層構造

四、起訴前段階での不起訴処分獲得の決定的重要性

五、初動対応における3つの重点(黙秘・早期弁護人選任・専属通訳)

六、当事務所の代表的な解決事例と対応体制

七、結語

執筆者情報

連絡先

舟渡国際法律事務所

網站:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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