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聖徳太子の旧1万円札と偽造通貨行使罪

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聖徳太子の旧1万円札と偽造通貨行使罪

聖徳太子の旧1万円札と偽造通貨行使罪

2025/12/14

1 はじめに

 今回は、聖徳太子の旧1万円札の偽装通貨を行使したという事件を例題として、偽造通貨行使罪を取り上げたいと思います。

 

2 偽造通貨行使罪

 偽造通貨行使罪は刑法148条に規定されています。

 偽造通貨行使罪は、通貨に対する公共の信頼を保護するための犯罪であり、社会的利益に対する犯罪と位置付けられています。そのため、被害者との示談よりも、偽造性に関する認識が争点となります。基本的に、偽造性に関する認識が立証された場合、公判請求(起訴)されることになると思われます。

 

 (通貨偽造及び行使等)
第百四十八条 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

 

3 偽造通貨行使罪における偽造性の認識

 偽造通貨行使罪が成立するためには、通貨を行使した際に、当該通貨が偽造であることを認識していた必要があります。

 この偽造性の認識というのは、間違いなく偽造通貨であると認識したこと(確信)の場合に限られません。実務上は、「うすうす怪しい違法な通貨かもしれない」(未必の故意)である認識をもって足りるとされています。

 この種の事案では、客観的な行為態様、すなわち、偽造通貨を行使した客観的事実それ自体は客観的な証拠によって明らかであると思われますので、特に争点とはなりません。

 争点となるのは、偽造性の認識、すなわ知、内心状態なります。そのため、弁護士に依頼して適切に弁護を展開する必要があるのです。

 

4 偽造通貨行使罪の量刑

 行使した偽造通貨が39万円の場合 懲役4年の実刑(東京地裁令和4年7月15日判決)

 行使した偽造通貨が105万円の場合 懲役4年の実刑(広島高裁平成19年5月31日判決)

 行使した偽造通貨が600万円の場合 懲役11年程度(東京地裁令和5年3月17日判決)

 

 このような量刑に鑑みると、起訴される金額が量刑の決め手となるはずです。そのため、捜査段階から適切に弁護を行うことによって、不起訴を狙い、起訴される場合でも、起訴される範囲を最小限度にすべきです。

 

 

 

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