舟渡国際法律事務所

日本で特殊詐欺・マネーロンダリング容疑で逮捕されたら

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日本で特殊詐欺・マネーロンダリング容疑で逮捕されたら

日本で特殊詐欺・マネーロンダリング容疑で逮捕されたら

2026/03/22

日本で特殊詐欺・マネーロンダリング容疑で逮捕されたら

中国人当事者・ご家族へ

本記事は法的アドバイスではありません。個別の事件については、必ず刑事弁護士にご相談ください。

はじめに――こんな事件が増えています

2026年1月、警察官を装った特殊詐欺に関与したとして、中国籍の男性4人が詐欺容疑および犯罪収益移転防止法違反(マネーロンダリング)容疑で逮捕されました。同種の事件は近年急増しており、「口座を貸しただけ」「知らずに送金した」という状況でも逮捕されるケースが相次いでいます。

日本の刑事手続きは中国とは大きく異なります。突然の逮捕に備え、手続きの流れと弁護の重要性を事前に理解しておくことが大切です。

 

1. どのような罪に問われるのか

特殊詐欺(詐欺罪)

刑法246条に基づき、法定刑は10年以下の拘禁刑です。罰金刑の規定がないため、有罪となれば執行猶予がつかない限り実刑となります。「受け子」「出し子」など末端の役割でも、共犯として同じ罪に問われる可能性があります。

マネーロンダリング(犯罪収益移転防止法違反・組織犯罪処罰法違反)

詐欺などの犯罪で得た資金を「正当な収益」に見せかける行為です。他人名義の口座への送金や暗号資産を使った資金移動も対象となります。被害者が存在しないため、示談による解決ができない点が特徴です。

 

2. 逮捕後の手続きの流れ

日本では逮捕から最長23日間、身柄が拘束される可能性があります。

 

段階

内容・期限

逮捕

身柄拘束・警察署に連行

検察庁へ送致

逮捕から48時間以内

勾留請求

送致から24時間以内(裁判官が判断)

勾留

原則10日、最長20日まで延長

起訴 または 不起訴

不起訴→即日釈放・前科なし

刑事裁判(起訴の場合)

公開裁判・判決

 

重要ポイント

  • 逮捕直後、家族でも面会できません。面会できるのは弁護士だけです
  • 接見禁止命令が出ると、弁護士以外との連絡が一切遮断されます
  • 日本語が分からない状態で取り調べが行われるため、通訳の手配が不可欠です

 

3. 中国と日本の手続きの違い

 

項目

日本

中国

逮捕前の拘束

原則なし(令状主義)

「拘留」から始まる場合あり

逮捕後の流れ

逮捕→勾留(最長23日)

拘留(最長37日)→逮捕(最長7ヶ月)

弁護士の接見

逮捕直後から可能

一定の制限あり

保釈

起訴後に申請可能

「取保候審」制度あり

 

4. 弁護士に依頼するメリット

① 早期釈放(勾留阻止)

弁護士は勾留請求に対して異議を申し立てることができます。早期に弁護士が動くほど、釈放の可能性が高まります。

② 取り調べへの適切な対応

「黙秘権」は日本でも保障されています。弁護士のアドバイスなしに供述すると、意図せず不利な証拠を作ってしまう危険があります。

③ 不起訴処分の獲得

マネーロンダリング事件では、「犯罪収益と知らなかった」という主張(故意の不存在)が重要な争点になります。証拠を丁寧に精査し、不起訴を目指す弁護活動が必要です。

④ 在留資格への影響の防止――外国人にとって不起訴は特別に重要

 

執行猶予付き判決でも在留資格を失う可能性があります

日本人と外国人では、刑事事件の結末が持つ意味が根本的に異なります。日本の入管法では、一定の犯罪で有罪となった場合、たとえ執行猶予がついていても、在留資格の取り消しや強制退去(deportation)の対象となります。「刑務所に入らなくて済んだ」という安堵は、外国人の場合には禁物です。

 

在留資格を失うリスクが特に高い犯罪類型

以下の犯罪は、執行猶予付き判決であっても退去強制・在留資格取消しの対象になりやすい典型例です。

 

犯罪類型

主な該当罪名

詐欺

詐欺罪(刑法246条)、特殊詐欺への関与

窃盗

窃盗罪(刑法235条)、万引き等を含む

偽造

文書偽造、有価証券偽造、通貨偽造 など

 

これらは入管法上「退去強制事由」または「在留資格取消し事由」に直結しやすく、有罪判決が確定した時点で在留資格の喪失リスクが生じます。

なぜ「不起訴」が最優先なのか

不起訴処分となった場合は、前科がつかず、入管手続き上も原則として不利益を受けません。一方、たとえ軽微な有罪判決(罰金・執行猶予)であっても、外国人にとっては日本での生活・仕事・家族との同居を失う引き金になり得ます。

日本人であれば「執行猶予で済んだ」と安堵できる結果が、外国人にとっては帰国・家族離散を意味する場合があります。

このため、外国人の刑事事件では、不起訴処分の獲得を弁護活動の最優先目標に置く必要があります。逮捕直後から、刑事弁護と入管法の双方に精通した弁護士に相談することが不可欠です。

 

5. ご家族がまずすべきこと

  1. すぐに弁護士に連絡する 逮捕の知らせを受けたら、24時間以内に刑事弁護士を探してください
  2. 中国語対応の弁護士を探す 日中両語に対応できる事務所、または中国語通訳が手配できる事務所を選びましょう
  3. 逮捕状・勾留状の確認を依頼する 弁護士を通じて、どの容疑で、どの根拠で拘束されているかを確認します
  4. 本人への差し入れの準備 弁護士以外の面会が許可された後、衣類・日用品の差し入れが可能になります

 

6. よくある質問

Q. 「口座を貸しただけ」でも逮捕されますか?

はい。その口座が詐欺に使われたと知っていた、または知り得る状況であれば、マネーロンダリングや詐欺の共犯として逮捕される可能性があります。

Q. 日本語が全く話せなくても大丈夫ですか?

取り調べでは通訳の同席を求める権利があります。ただし、警察が手配する通訳に頼るだけでなく、弁護士を通じて信頼できる通訳を確保することが重要です。

Q. 中国の家族はいつ面会できますか?

逮捕直後は弁護士のみ接見可能です。接見禁止命令が解除されるか、勾留後に裁判所の許可が下りれば家族も面会できます(接見禁止が付く事件では長期間面会できないこともあります)。

 

まとめ

特殊詐欺・マネーロンダリング事件は、日本の捜査機関が組織的に対応する重大犯罪です。逮捕直後の初動が、その後の処分に大きく影響します。

 

外国人にとって特に重要なのは、詐欺・窃盗・偽造などの有罪判決は、執行猶予付きであっても在留資格の喪失につながりうるという点です。「刑務所に入らなくて済んだ」では終わりません。日本での生活・仕事・家族との暮らしを守るためには、不起訴処分の獲得を最優先に、刑事弁護と入管法の両方に精通した弁護士に一刻も早く相談することが必要です。

「まず弁護士に連絡する」——これが最も重要な第一歩です。

 

本記事は公開情報をもとに一般的な解説を行ったものであり、個別の法的アドバイスではありません。具体的な対応については、刑事弁護の経験を持つ弁護士にご相談ください。

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