ストーカー規制法上の警告と銃刀法のリンク(警告・欠格事由・許可取消・仮領置)
2026/02/25
1 はじめに
このブログでは、ストーカー規制法の警告(口頭警告、文書警告)を受けた場合に、既存の銃刀法の銃砲刀剣類所持許可に及ぼす影響について解説を行います。
2 ストーカー規制法の警告
ストーカー規制法上、いわゆる「ストーカー行為」を行ったものと認定されてしまうと、ストーカー規制法上の警告がは発令される法的仕組みが採用されています。
このストーカー規制法の警告には、①口頭警告、②ストーカー規制法4条1項に基づく文書警告の2種類が存在します。
なお、ストーカー規制法の警告の実情は非常に抽象的なものであり、日常生活上の些細な誤解による行為までも、被害者の誤解等によって、ストーカー案件に発展してまう可能性があります。
3 ストーカー規制法と銃刀法のリンク(平成20年銃刀法改正)
平成20年銃刀法改正によって、ストーカー規制法4条1項の文書警告を受けることが、銃刀法上の銃砲刀剣類所持許可の絶対的人的欠格事由となるとの法律効果を有するものとされました。
つまり、ストーカー規制法の警告を受けることが、銃刀法の世界でも、法的に影響を及ぼす結果となるのです。
ストーカー規制法が銃刀法の世界に影響を及ぼすのは文書警告の場合に限られません。口頭警告であったとしても、銃刀法5条1項18号の包括条項に該当する可能性があるのです。わかりやすく解説をすると、口頭警告を受けただけであっても、それは「危険人物」であり、銃刀法5条1項18号に該当するというものです。
4 ストーカー規制法の警告を受けた場合の銃刀法の世界での効果
ストーカー規制法4条1項に基づく文書警告は、「欠格事由」に分類されます。この「欠格事由」というのは、欠格事由に該当する事実が発生した場合、他に何らの処分を要せずして、当然に、絶対的に、直接的に、欠格事由としての法的効果が生じることになっています。
このストーカー規制法4条1項の文書警告がこのような絶対的な法的効果を生じることは、私が戦った奈良ストーカー警告事件において、大阪高判令和6年6月26日によって正面から認められているところです。
このような欠格事由としての効力が発生する以上、警察には、許可をするかしないかの裁量は存在せず、絶対的に不許可としなければならないのです。したがって、警告を受けた後に、許可申請をする場合、絶対的に不許可となるのです。
既存の許可の場合には、欠格事由に該当したことに伴い、許可が取り消され、既存の銃砲刀剣類は仮領置処分を受けることになります(銃刀法18条11号)。
5 最後に
このようにストーカー規制法上の警告を受けてしまうと、銃刀法の世界に影響を及ぼすことになりかねません。
既存の許可者との関係では、既存の銃砲刀剣類を守るため、ストーカー規制法の警告を取り消し(取消訴訟、公法上の実質的当事者訴訟等)、仮領置処分が銃刀法18条11号の法律要件を充足しないことを主張するなどの措置を講じるべきです。
いずれにせよ、ストーカー規制法の警告が出てしまうと、銃刀法の世界に複雑な影響を及ぼすことになるのであり、奈良ストーカー警告事件がそうであったように、出てしまったストーカー警告を争うことは非常に困難であるといわざるを得ません。
ストーカー事件の入り口は日常的なトラブルであるはずであり、口頭警告が入口になるはずです。このような複雑な法的問題を生じさせないよう、初期の段階から紛争を解決することが、このストーカー規制法・銃刀法のリンクの問題に対処する場合に必要であると考えます。
(参照条文)
銃刀法5条1項
都道府県公安委員会は、第四条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、許可をしてはならない。
十五 ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第二条第四項に規定するストーカー行為をし、同法第四条第一項の規定による警告を受け、又は同法第五条第一項の規定による命令若しくは同条第九項の規定によるその延長の処分を受けた日から起算して三年を経過していない者
十八 他人の生命、身体若しくは財産若しくは公共の安全を害し、又は自殺をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者(前号に該当する者を除く。)
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