舟渡国際法律事務所

不法就労助長の判例の傾向

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不法就労助長の判例の傾向

不法就労助長の判例の傾向

2025/10/14

 

 今回の記事では、不法就労助長該当性が争われた裁判例の分析結果によって、裁判所の傾向を分析してみたいと思います。この記事における不法就労助長とは退去強制事由としてのものですが、刑事事件としての不法就労助長罪にも共通する部分が多いと思います。

 

 判例データベースで「出入国管理及び難民認定法」、「不法就労」、「3号の4イ」を検索キーワードとして裁判例を検索したところ、下記の55件の裁判例がヒットした。

 なお、判例データベースは、TKC、判例秘書、D1-Law、Westlawの全てを検索対象としたものであるが、TKCが全ての裁判例をカバーしていることから以下ではTKCでの検索結果55件に基づき、裁判例の分析結果を示す。

 

第1 結論

 1 裁判例で不法就労助長(入管法24条3号の4イ)が問題となった事案において、不法就労助長行為を行なったとされた者は、経営者、雇用主の事例のみである。

 2 裁判例の事例の大部分が、スナック店の事例である。「短期滞在」や「留学」のビザを有する外国人を雇用した事例もあるが、これらの在留資格をもってしても資格外活動の許可を受けていることを確認しなければ故意・過失があるといえ、入管法24条3の4イに該当するのは当然である。

 3 裁判例の事例の中で真正な在留カードにより就労資格を確認した事例は存在しない。

 4 資格外活動の許可を受けていないことの確認について、故意・過失がなくても入管法24条3の4イの認定事由に該当するという理由について、行政処分であることと過失があれば故意犯として扱うという規定の存在以外に、積極的に根拠つけた判例はない。

 

第2 検討結果

 

裁判例

事案の概要

原告の属性

故意・過失

結論

令和4年(行ウ)第267号令和5年2月2日東京地判

中国国籍の原告女性は、共犯者2名と営む東京都豊島区α所在の個室マッサージ店において、業として外国人売春婦に売春を行う場所を提供し、不法残留中の外国人2名を同じく性的サービス等を提供する従業員として就労させた行為が、不法就労助長に該当するとされた事例で、原告は入管法24条3号の4イ該当性を認め、在留特別許可不許可等を争った。

原告は、複数の外国人従業員に売春行為をさせるマッサージ店の営業に、共犯者らと共同出資。ほぼ毎日店舗に出勤して、受付、帳簿付け、掃除を行うなどの労務提供もしていたのであり、原告は「経営者」。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認めている。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認めている。

令和3年(行ウ)第103号令和4年2月10日東京地判

原告は,内装業を営む者であるが,その業務に関し,平成30年9月7日から同年11月15日までの間,東京都町田市内の作業所及び神奈川県川崎市内の作業所において,中国国籍を有する不法残留者8名を,内装工として働かせて報酬を受ける活動に従事させ,もって,それぞれ,事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認め、在留特別許可不許可等を争った。

原告は,内装業を営む者であり、経営者。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認めている。

入管法24条3号の4イに該当する。

平成30年(行ウ)第583号、平成31年(行ウ)第24号、平成31年(行ウ)第27号、令和3年11月18日東京地判

原告ら(いずれもトルコ共和国の国籍を有する外国人)が難民認定申請をしたところ、難民の認定をしない旨の処分を受け、次いで、出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項の規定による在留特別許可をしない旨の処分を受けたため、被告(国)に対し、各在特不許可処分が無効であることの確認を求めるとともに、原告ら各自に対する在留特別許可の義務付けを求めた事案において、義務付けの訴えを却下し、その余の請求を棄却した事例。

本件の主たる争点は,本件各在特不許可処分が違法無効か否かである。

原告は、自ら不法就労を行なった者である。

原告は、自ら不法就労を行なった者であるから、検討の対象外。

原告は、自ら不法就労を行なった者であるから、検討の対象外。

令和2年(行ウ)第320号令和3年11月4日東京地判

中華人民共和国の国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法(入管法)24条3号の4イに該当する旨の認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたのに対し、法務大臣から権限の委任を受けた東京出入国在留管理局長から、上記異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、東京出入国在留管理局主任審査官から退去強制令書の発付処分を受けたため、同裁決及び同処分の各取消しを求めた事案で、原告が本件店舗で行っていた営業は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条1項2号に該当し、Lが当時同号に該当する営業に従事する資格はなかったにもかかわらず、原告は、在留カードによって在留資格を確認することなくLを雇用し、本件店舗においてホステスとしての業務に従事させたことが認められるから、原告は、入管法24条3号の4イに該当するとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認め、在留特別許可不許可等を争った。

原告はスナックの経営者。

原告は、在留カードによって在留資格を確認することなくLを雇用し、本件店舗においてホステスとしての業務に従事させた。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認め、在留特別許可不許可等を争った。

入管法24条3号の4イに該当する。

令和1年(行ウ)第414号令和3年4月13日東京地判

タイ人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)、同条4号ハ(人身取引)、同号ヌ(売春の周旋等)及び同号リ(1年を超える懲役等に処せられたこと)に該当する旨の認定及び同認定に誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたところ、法務大臣から同条3項に基づき原告の上記異議の申出には理由がない旨の本件裁決を受けたことから、法務大臣が本件裁決を撤回しないことはその裁量権の範囲を逸脱しまたはこれを濫用するものであるとして、被告国を相手に、法務大臣による本件裁決の撤回の義務付けを求めた事案で、原告による生活上の支援を受けられない訴外cの不利益をもって、原告自身の夫婦としての共同生活に係る不利益と評価できず、原告に「重大な損害を生ずるおそれ」(行政事件訴訟法37条の2第1項)がないから、訴訟要件を欠く不適法な訴えであるとして、却下した事例。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認め、在留特別許可不許可等を争った。

原告は夫名義の社交飲食店の経営者。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認めている。

本件事件は訴訟要件で排斥されているので、故意・過失の判断はない。

令和1年(行ウ)第545号令和3年3月23日東京地判

原告(タイ王国の国籍を有する外国人)が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イに該当する旨の認定及びこの認定に誤りがない旨の判定を受けたため、同法49条1項の規定による異議の申出をしたところ、異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、退去強制令書発付処分を受けたことから、裁決等の取消しを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。

原告は当該外国人が就労資格を有しないことの認識は争わず、もっぱら原告の立場が従業員であるから入管法24条3の4イの主体に該当しないと反論した。

経営者を補佐する監督的立場にある従業者。

かつ、原告は店舗の年長ホステスとして経営者の代わりに店長的な立場であり、単なる従業員ではない。また、原告の関与の程度は、ホステスの出勤を補助するという原告の本来的な業務である(控訴人のように部署外の仕事を手伝った事例とは異なる。)

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認めている。

入管法24条3号の4イに該当する。

令和2年(行ウ)第25号令和3年3月4日東京地判

原告(フィリピン共和国国籍を有する外国人)は、出入国管理及び難民認定法24条3号、3号の4イ及び4号リに該当する旨の認定及びこれに誤りがない旨の判定を受けたため、同法49条1項に基づく異議の申出をしたところ、異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、退去強制令書の発付処分を受けたことから、裁決等の取消しを求める訴えを提起したが、請求が棄却されたことから、原告が、家族との関係の保護、原告の日本への定着性、長期間の収容中に受けた原告の精神的・肉体的苦痛等を考慮すると、裁決を撤回しないことは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となるとして、裁決の撤回の義務付け及び同法50条1項に基づく在留特別許可の義務付けを求めた事案において、訴えをいずれも却下した事例。

原告は社交飲食店の経営者。

本件事件では原告は入管法24条3号の4イ該当性を明確に認めている。

本件事件は訴訟要件で排斥されているので、故意・過失の判断はない。

令和2年(行ウ)第59号令和 3年3月4日東京地判

原告(中華人民共和国の国籍を有する外国人)が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長行為)の退去強制事由に該当する旨の認定を受け、その認定に服したとして、処分行政庁から退去強制令書の発付処分を受けたことから、その取消しを求めた事案において、請求を棄却した事例。

 上記略式命令に係る「罪となるべき事実」は,原告が,本邦に不法に残留する外国人であるD(以下「D」という。)を,在留資格の有無の確認に必要な方法を尽くさないで,原告が代表取締役を務めていた株式会社星光(以下「本件会社」という。)の従業員として稼働させて報酬を受ける活動に従事させ,もって事業活動に関し不法就労活動をさせたというものであった。

原告は株式会社の代表取締役である。

原告は、当該外国人の在留カードを全く確認していないので過失が認められる事例である。

本件の争点は,本件退令発付処分が適法であるか否かであり,具体的には,本件認定の違法が本件退令発付処分の違法事由となるか否かであり、原告が口頭審理を放棄したことにより本件退令発付処分は適法とされ、入管法24条の3イの判断は案されていない。

令和1年(行ウ)第644号令和3年2月26日東京地判

大韓民国の国籍を有する外国人である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イに該当する旨の認定及びこの認定に誤りがない旨の判定を受けたため、同法49条1項の規定による異議の申出をしたところ、東京入管局長から、上記の異議の申出には理由がない旨の裁決(本件裁決)を受け、東京入管主任審査官から、退去強制令書発付処分(本件退令発付処分)を受けたことから、本件裁決及び本件退令発付処分の取消しを求めた事案で、原告は、本件会社の代表取締役として、Fの在留資格が「留学」であるが既に教育機関に在籍していないことを認識しながら同人を採用し不法就労活動をさせ、原告の不法就労助長行為について悪質と評価されることが不合理ということはできず、このことが在留特別許可の許否判断に当たって消極事情として考慮されることは、やむを得ないというべきであるから、原告に対し在留特別許可を付与しなかった本件裁決が、全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、法務大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものとは認められず、本件裁決は適法であり、本件退令発付処分は適法であるとして、請求をいずれも棄却した事例。

原告は株式会社の代表取締役である。

原告は、当該外国人が「留学」から在留資格変更申請をしていると聞き,また,Fが週28時間以内の資格外活動許可も得ていたことから,就労がある程度許容されると考えたことによるものであり,法令に対する知識の不十分さに起因するものと主張し、就労資格を有しないことの確認の過失を認めている。

入管法24条3号の4イに該当する。

10

平成29年(ワ)第56号令和 2年9月23日広島地方判

技能実習制度に基づき、監理団体を被告組合、実習実施機関を被告会社として本邦に上陸・在留した技能実習生である原告らが、被告会社らに対し、〔1〕未払賃金及び付加金等の支払を求め、また〔2〕原告らが出入国管理及び難民認定法(平成25年6月19日号外法律第49号による改正前)違反の被疑事実で逮捕勾留されたことについて、被告らには債務不履行又は不法行為があったとして損害賠償金等の支払を請求した事案。

損害賠償請求事件なので検討対象外。

損害賠償請求事件なので検討対象外。

損害賠償請求事件なので検討対象外。

11

平成30年(行ウ)第320号令和1年(行ウ)第300号令和 2年2月21日東京地判

外国籍の女性である原告が、入国管理局入国審査官から認定を、法務大臣の権限の委任を受けた入国管理局長から裁決を、入国管理局主任審査官から退令発付処分を受けたところ、原告が外国人に不法就労活動をさせたことはないから退去強制事由はなく、また、原告に在留特別許可を付与しなかった裁決には裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるなどと主張して、これらの取消しを求めた事案で、認定した事情を総合考慮すると、原告に在留特別許可を付与しなかった入国管理局長の判断が重要な事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くとは認められず、裁決に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないから、裁決は適法であるとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。

風俗営業を営む社交飲食店の経営者。

原告は、「入管法24条3号の4イにいう「事業活動に関し,外国人に不法就労活動……をさせる」とは,「外国人との関係で対人関係上優位に立っており,外国人が自己の指示どおり不法就労活動に従事する状態にあることを利用して積極的に働きかけ,そのことにより外国人が不法就労活動に従事するに至った」ということを意味しており,単に故意があるのみならず,上記のとおりの積極的な利用の状況及び意思があることが必要である。」と主張。

原告は,本件ホステスらが本件店舗でホステスとして報酬を受ける活動に従事していることを認識していたと認められるから(原告本人6頁),本件ホステスらの在留資格を認識していたか,就労可能な在留資格を有しない外国人を就労させてはならないという法規範を認識していたか否かにかかわらず,不法就労助長行為の主観面にも欠けるところはない、と判断された。

24条3号の4イを認めた。

本件事件は、以下の通り判断した。

①「入管法24条3号の4イは,「事業活動に関し,外国人に不法就労活動……をさせること」を行い,唆し,又はこれを助けることを退去強制事由と定めている。ここでいう「不法就労活動をさせる」とは,外国人との関係で対人関係上優位に立っており,外国人が自己の指示どおり不法就労活動に従事する状態にあることを利用して積極的に働きかけ,そのことにより外国人が不法就労活動に従事するに至ったことを意味すると解され,対等な取引相手として売買契約や請負契約の相手方となっただけではこれに当たらないが,雇用契約の雇用主あるいは雇用主たる法人の経営者であれば通常これに当たると解される。」

②「そして,同法73条の2第1項1号は,「事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた者」は,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科することとし,同条2項は,1項1号の行為をした者は,当該外国人の活動が資格外活動であることを知らないことを理由として処罰を免れることができず,ただし,過失のないときはこの限りでない旨を定めている。
 このような入管法の規定に照らせば,同法24条3号の4イにいう「事業活動に関し,外国人に不法就労活動……をさせること」も,客観的に外国人に不法就労活動をさせるという客観的事実と,その客観的事実に対応する認識があれば足り,当該外国人の活動が資格外活動であることの認識を要するものではないと解するのが相当である(同号イには同法73条の2第2項ただし書のような規定はないから,退去強制事由としての不法就労助長行為の成立には,資格外活動であることの認識を欠いたことについての過失も必要でないと解される。)。」

12

平成30年(行ウ)第476号平成30年(行ウ)第494号令和1年10月24日東京地判

バングラデシュ人民共和国の国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)の退去強制事由に該当する旨の認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長から、同条3項に基づき、異議の申出は理由がない旨の裁決を受け、さらに、東京入管主任審査官から、同条6項に基づき、退去強制令書の発付処分を受けたため、原告に在留特別許可を付与しないでした本件裁決につき、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるなどとして、本件裁決及びこれに基づく本件退令処分がいずれも無効であることの確認を求めた事案において、原告に対して在留特別許可を付与しなかった本件裁決が、全く事実の基礎を欠き、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、東京入管局長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例。

原告は株式会社の代表取締役である。

原告は、当該外国人の在留カードを確認したことがない。

入管法24条3の4イに該当する。

13

平成30年(行ウ)第259号平成31年 4月25日東京地判

タイ王国の国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イに該当する旨の認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長から、同条3項に基づき、異議の申出は理由がない旨の裁決を受けたところ、本件裁決後の事情によれば本件裁決は撤回されるべきであるとして、被告・国を相手に、本件裁決の撤回の義務付けを求めるとともに、在留特別許可の義務付けを求めた事案で、本件訴えのうち、本件裁決の撤回の義務付けを求める部分は、「重大な損害を生ずるおそれ」があるときに限り提起することができるとされる義務付けの訴えの訴訟要件を欠くものであり、また、在留特別許可の義務付けを求める部分は、法務大臣等が在留特別許可をする法令上の権限を有しないにもかかわらず、その処分の義務付けを求めるものであるから、本件訴えはいずれも不適法であるとして却下した事例。

原告はパブの経営者。

原告は「短期滞在」のビザを有するものをパブで採用してしまったので、故意・過失は認めている。

本件事件は訴訟要件で排斥されているので、故意・過失の判断はない。

14

平成29年(ワ)第43142号平成31年 3月19日東京地判

原告Aの妻であり原告Bの母であるCに対する退去強制令書の発付及び仮放免の取消しに伴う同令書の再度の執行による再収容が違法であり、これらにより原告らが精神的損害を被ったとして、原告らが、それぞれ、被告・国に対し、国家賠償法1条1項の損害賠償請求権に基づき、当該令書の発付による慰謝料及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件認定、本件裁決及び本件再収容は、出入国管理及び難民認定法所定の手続に則って適法にされたものといわなければならず、これらが違法となる余地はないとして、原告の請求を棄却した事例。

国家賠償請求事件なので検討対象外。

国家賠償請求事件なので検討対象外。

国家賠償請求事件なので検討対象外。

15

平成29年(行ウ)第349号平成30年 3月20日東京地判

フィリピンの国籍を有する女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号(偽造文書・変造文書の作成、提供等)、同条3号の4イ(不法就労助長)、同条4号リ(刑罰法令違反)に該当するとの認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、同条3項に基づき、異議の申出は理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受け、さらに、同条6項に基づき、退去強制令書の発付処分(以下「本件退令処分」という。)を受けたため、被告国に対し、本件裁決及びこれに基づく本件退令処分の取消を求めた事案で、特に本件裁決の適法性が争点となり、本件の諸事情を総合考慮すると、原告に対して在留特別許可を付与しなかった本件裁決は、全く事実の基礎を欠き、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものとは認められないから、適法であるとして、請求を棄却した事例。

原告は社交飲食店の経営者。

原告は入管法24条3の4該当性を認めている。

原告は入管法24条3の4該当性を認めている。

16

平成29年(行ウ)第300号平成30年 3月16日東京地判

A国の国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法所定の退去強制手続において、同法24条3号の4イ(不法就労助長)及び同条4号チ(薬物法令違反)所定の退去強制事由に該当すると認定され、法務大臣の権限の委任を受けた東京入国管理局長の同法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、更に東京入国管理局主任審査官の退去強制令書の発付を受けたことにつき、原告には、特別な事情があるにもかかわらず、原告の在留を特別に許可しないでした裁決は、裁量権の逸脱、濫用があったものとして違法であり、これを受けてされた退令発付処分も違法であるとして、被告国に対し、裁決及び退令発付処分の各取消しを求めた事案で、原告の在留特別許可の許否の判断において、原告が永住許可を受けていることは積極事情であると認められるが、強い積極事情として斟酌されなかったとしても社会通念上妥当性を欠くものとはいえず、また、そのほかに積極事情として特に斟酌すべき事情があるものと認めることはできず、他方、これを上回る看過することのできない重大な消極事情が認められるので、原告に対して在留特別許可を付与しなかった入管局長の判断は、全く事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとは認められず、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえず、裁決は適法なものであるとして、原告の各請求を棄却した事例。

原告は社交飲食店の経営者。

原告は短期滞在の外国人を社交飲食店で就労させた。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

17

平成28年(行ウ)第213号平成30年 3月9日東京地判

原告(タイ王国の国籍を有する外国人女性)が、出入国管理及び難民認定法所定の退去強制手続において、同法24条3号の4イ(不法就労助長)、同条4号ハ(人身取引等に関与)、同号ヌ(売春関係業務従事)及び同号リ(刑罰法令違反)所定の退去強制事由に該当すると認定され、同法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、更に退去強制令書の発付を受けたことにつき、原告においては、(1)人身買受け、不法就労助長及び売春の周旋を行ったものとは認められないこと、(2)日本人男性と婚姻しているところ、その夫が病気で治療しているため、援助をする必要があること、長期間にわたり本邦に滞在し、永住許可も受けており、本邦への定着性が認められること等の事情があるにもかかわらず、在留を特別に許可しないでした裁決は、裁量権の逸脱、濫用があったものとして違法であり、これを受けてされた退去強制令書発付処分も違法であるとして、被告(国)に対し、裁決及び退去強制令書発付処分の各取消しを求めた事案において、訴えのうち一部を却下し、その余の請求を棄却した事例。

 原告は、本邦において就労する資格を有しない本件被害女性を,本件店舗においてホステスとして稼働させるなどしていたとされた。

原告は,本件店舗において金銭と従業員を管理するという地位にあったと判断された。

原告は、当該外国人については,その在留期限についてもよく分からず,本件被害女性と特に契約を交わしていなかった。

入管法24条3の4イに該当する。

18

平成29年(行ウ)第131号平成29年10月13日東京地判

タイ王国の国籍を有する女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)及び同条4号ヌ(売春関係業務従事)の退去強制対象者に該当するとの東京入国管理局入国審査官の認定に誤りがないとの東京入国管理局特別審理官の判定に対し、同法49条1項の規定による異議の申出をしたが、法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がその異議の申出には理由がない旨裁決し(本件裁決)、これを受けて東京入国管理局主任審査官が原告に対し退去強制令書を発付したため、原告が、被告国に対し、原告には日本人男性と17年以上にわたり婚姻共同生活をしている等の事情があるのに、原告の在留を特別に許可しないでした本件裁決は、裁量権の範囲を超え又はその濫用があるもので違法であり、これを受けてされた本件退去強制令書発付処分も違法であるとして、これらの各取消しを求めた事案において、本件裁決に裁量権の逸脱濫用があったとは認められないから違法ではなく、本件退去強制令書発付処分も違法でないとして、原告の請求を棄却した事例。

原告はスナックの経営者。

原告は,不法残留者を就労させることが重大な不法就労助長罪として処罰や退去強制手続の対象とされることは理解していたが,在留資格を有する者を就労させることが同様の結果をもたらすことは十分に理解していなかった、と主張。

入管法24条3の4イに該当する。

19

平成28年(行ウ)第286号平成29年 9月14日東京地判

原告(ロシア連邦国籍を有する外国人)が、東京入国管理局長から、出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、東京入国管理局主任審査官から、同条6項に基づき退去強制令書の発付処分を受けたのに対し、裁決及び発付処分の各取消しを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。

 原告は短期滞在のビザを有する外国人をホステスとして就労させた。

原告は社交飲食店の経営者。

原告は短期滞在の外国人を社交飲食店で就労させた。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当する。

20

平成27年(行ウ)第620号平成29年 6月30日東京地判

原告(タイ王国の国籍を有する女性)が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)、4号ハ(人身取引等)及び同号ヌ(売春関係業務従事)の退去強制対象者に該当するとの東京入国管理局入国審査官の認定が誤りがないとの東京入国管理局特別審理官の判定に対し、同法49条1項の規定による異議の申出をしたが、東京入国管理局長が異議の申出には理由がない旨裁決し、これを受けて東京入国管理局主任審査官が退去強制令書を発付したため、原告が、被告(国)に対し、原告には、日本人男性P6との間に満4歳の長男がおり、長男出産後にP6と婚姻もして、家族で生活している等の事情があるのに、原告の在留を特別に許可しないでした裁決は、裁量権の範囲を超え又はその濫用があるもので違法であり、これを受けてされた退去強制令書発付処分も違法であるとして、これらの各取消しを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。

原告はスナックの経営者。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

21

平成27年(行ウ)第491号平成29年 2月8日東京地判

中国国籍の男性である原告が、原告に係る不法就労助長を理由とする退去強制の手続において、法務大臣の権限の委任を受けた東京入国管理局長から出入国管理及び難民認定法49条1項の規定に基づく異議の申出が理由がない旨の裁決を受けるとともに、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書の発付の処分を受けたことにつき、原告には不法就労助長の故意・過失がなく、その態様も悪質ではないこと、原告が永住許可を受けていたこと、本邦への定着性が認められること等からすれば在留を特別に許可すべきであって、上記裁決には裁量権の範囲を逸脱濫用した違法があり、同裁決を前提とする上記処分も違法である旨の主張をして、これらの取消しを求めた事案で、原告は、訴外eらが在留資格のない者であることを少なくとも未必的には認識しつつ不法就労活動をさせていたから、在留状況が消極に考慮されることはやむを得ないなどとして、請求をいずれも棄却した事例。

原告は株式会社の代表取締役。

原告は、当該外国人の在留資格を確認していない。

原告がeらの不法就労を助長したとされる点について,原告は,eらから在留資格がある旨の虚偽の申告を受けるとともに虚偽の外国人登録証明書を提示されたため,eらの在留資格に問題はないと認識しており,他にeらの在留資格がないことを疑わせる事情もなかったのであって,原告にはeらに不法就労活動をさせたことについて故意・過失がない、と主張した。

入管法24条3の4イに該当する。

22

平成27年(行ウ)第692号平成28年10月27日東京地判

タイ王国の国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当する旨の認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、次いで、法務大臣から権限の委任を受けた裁決行政庁から同法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、さらに、処分行政庁から退去強制令書の発付処分(を受けたことに対し、本件裁決は、原告に対して在留特別許可を付与することなくされた点で、裁決行政庁が有する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであり、違法であるなどと主張して、裁決行政庁及び処分行政庁が所属する国を被告として、本件裁決及び本件退令処分の取消しを求めた事案において、原告による本件不法就労助長行為は悪質性の高いものであって、原告の出入国管理制度を軽視する姿勢が顕著であることなど、原告に対する在留特別許可の許否の判断に当たって重大な消極要素が存在することからすれば、原告が本邦において日本国籍を有するq5や子であるq6との生活を長期間にわたり安定して継続してきたことなどの事情を最大限考慮しても、裁決行政庁による在留特別許可を付与しなかったという本件裁決が、全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した場合に当たるとまではいえないとして、原告の請求を棄却した事例。

原告はパブの経営者。

原告は短期滞在の外国人を社交飲食店で就労させた。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

23

平成27年(行ウ)第428号平成28年10月25日東京地判

A国の国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当する旨の認定及びこの認定に誤りがない旨の判定を受けたため、法務大臣に対して同法49条1項の規定による異議の申出をしたところ、法務大臣から権限の委任を受けた裁決行政庁から上記の異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、その通知を受けた処分行政庁から退去強制令書発付処分を受けたことから、裁決及び処分の取消しを求めた事案で、原告の本邦への入国、在留の状況、本邦における身上及び生活状況、A国に送還されることについての支障の程度等を総合考慮すると、原告に対して在留特別許可を付与せずにされた本件裁決が、全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとは認め難く、裁決行政庁に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものと認めることはできないから、本件裁決は適法なものと認めるのが相当であり、 そして、処分行政庁は、裁決行政庁から本件裁決の通知を受けた以上、同法上、これに従って退去強制令書を発付するほかないところ、本件裁決が適法である以上、本件処分は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。

原告はパブの経営者。

原告は入管法24条3号の4イに該当することを認めている。

原告は入管法24条3号の4イに該当する。

24

平成27年(行ウ)第512号平成28年 6月23日東京地判

外国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当するとの認定並びにこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長から、同条3項に基づき、異議の申出は理由がない旨の裁決を受け、さらに、入国管理局主任審査官から、同条6項に基づき、退去強制令書の発付処分を受けたため、原告に在留特別許可を付与しないでした本件裁決につき、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるなどとして、本件裁決及びこれに基づく本件退令処分の取消しを求めた事案で、原告の不法就労助長行為等の在留状況、子らとの関係や本邦への定着性の程度、本国における生活の状況等に係る諸事情を総合考慮すると、原告に対し在留特別許可を付与しなかった本件裁決が、全く事実の基礎を欠き、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、法務大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものとは認め難いというべきであるとして、原告の請求を棄却した事例。

原告は株式会社の代表者。

原告は当該外国人の就労資格を確認したことがなかった。

入管法24条3の4イに該当すると判断された。

25

平成27年(行ウ)第253号平成28年 6月9日東京地判

中華人民共和国の国籍を有する外国人女性である原告が、永住許可を受けて本邦に在留していたところ、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当する旨の認定及びこの認定に誤りがない旨の判定を受けたため、法務大臣に対して同法49条1項の規定による異議の申出をしたところ、裁決行政庁から上記の異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、処分行政庁から退去強制令書発付処分を受けたことから、本件裁決及び本件処分の取消しを求めた事案で、原告に対する本件裁決の適法性の判断においては、裁決行政庁が、同法50条1項1号又は4号の規定に係る在留特別許可を付与すべきであったかどうかが問題となるところ、原告による不法就労助長の悪質性からすると、原告が、永住許可を受けており、本邦に定着して生活していたことなどの原告の指摘する事情を考慮しても、原告に対して在留特別許可を付与せずにされた本件裁決について、裁決行政庁がその裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとは認められないから、本件裁決は適法であり、本件処分も適法であるとして、請求を棄却した事例。

原告は社交飲食店の経営者。

原告は当該外国人の就労資格を確認していない。

原告は、入管法24条3の4イに該当することを認めていた。

入管法24条3の4イに該当すると判断された。

26

平成27年(行ウ)第317号平成28年 3月10日東京地判

大韓民国の国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条1号(不法入国)に該当するとの認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、同条3項に基づき、異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、さらに、退去強制令書の発付処分を受けたため、原告に在留特別許可を付与しないでした本件裁決につき、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があり、その違法の程度は重大であるなどとして、本件裁決及びこれに基づく本件退令処分の無効確認を求めた事案において、本件裁決における判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がないとして、原告の請求を棄却した事例。

鞄製造工ないし鞄製造工場経営者。

原告は当該外国人の就労資格を確認していなかった。

原告も入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当すると判断された。

27

平成27年(行ウ)第375号平成28年 2月19日東京地判

ネパール連邦民主共和国国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長の幇助)に該当するとの認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長から、同条3項に基づき、異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、さらに、東京入国管理局主任審査官から、同条6項に基づき、退去強制令書(の発付処分を受けたため、本件裁決は原告に在留特別許可を認めるべき具体的な事情を考慮せずにされた違法なものであるなどとして、本件裁決及び本件退令処分の各取消しを求めた事案で、原告に対し在留特別許可を付与しなかった本件裁決が、法務大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものとはいい難く、本件裁決は適法というべきであり、東京入管主任審査官は、東京入管局長から本件裁決の通知を受けた以上、同法上、これに従って退去強制令書を発付するほかなく、これを発付するか否かについて裁量を有するものではないから、本件裁決が適法である以上、本件退令処分は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。

原告は,有限会社マリンに対し,ネパール国籍を有する外国人で在留資格「技能実習2号ロ」で本邦に在留し,資格外活動許可を受けていないGを,それぞれ報酬を受ける活動に従事する者として紹介し,もって本件会社の事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせる行為を助けた。

原告は、知人のネパール人男性から,研修先から逃げ出したGらに対して仕事をあっせんして欲しい旨の依頼を受けたため,Gらが本邦で就労できないことを知りながら紹介したと判断された。

入管法24条の3イに該当すると判断された。

28

平成26年(行ウ)第493号平成27年11月24日東京地判

大韓民国国籍を有する外国人である原告が、裁決行政庁から、出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、処分行政庁から、同条6項に基づき退去強制令書の発付処分を受けたのに対し、上記裁決及び上記発付処分の各取消しを求めた事案で、原告が本国に送還されることにより原告夫と本邦において同居して生活を共にすることが困難になるとしても 原告には不法就労助長の認識があったと認められるし、売春の周旋についても明確な認識があったと認められ、原告の在留状況の悪質性に照らせば、上記不利益は、原告において受忍すべきものであり、原告に対する在留特別許可の許否の判断にあたり、原告夫との関係、また原告子らの存在を積極要素として殊更考慮するまでの必要性はないというべきであるとして、原告の請求を棄却した事例。

原告は、派遣型売春店の経営者。

原告は短期滞在の外国人を就労させた。

原告は、不法就労助長の点については,原告は,在留資格のない者を雇う意思は全くなく,短期滞在の在留資格を有する者を雇う認識はあったが,就労が可能であると誤信していた、と主張した。

入管法24条3の4イに該当すると判断した。

本件判決は、「外国人が入管法24条3号の4イに規定する退去強制事由に該当するというためには,当該外国人が事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせるという客観的事実の存在をもって足り,不法就労助長の認識を要しない。この点をおくとしても,原告には「短期滞在」の在留資格では就労できないことについての認識があった。また,原告は,ロデオのデリヘル嬢が売春をしていることを認識しながら,同人らに遊客らを紹介し,もって売春を周旋していた。」と判断した。

29

平成26年(行ウ)第358号平成27年11月19日東京地判

中華人民共和国の国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法(平成26年法律第74号による改正前)24条3号の4イ(不法就労助長)に該当する旨の認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、次いで、裁決行政庁から同法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、さらに、処分行政庁から退去強制令書の発付処分を受けたことに対し、本件裁決及び本件退令処分の各取消しを求めた事案において、原告は、訴外Gが本邦に不法残留していることを認識した上で働かせていたものと推認することができ、かかる不法就労助長行為は相当悪質であり、在留特別許可の許否の判断にあたり、重要な消極要素として考慮されるのは当然であるとして、本件裁決における裁決行政庁の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものとは認められず、本件裁決及び本件退令処分は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。

原告は中華料理店の経営者。

原告は,中国にいる兄の紹介でGを雇い,Gから在留資格があると説明を受けていたため,これを信じて在留資格の有無を確認しなかったのであり,原告に不法就労助長は成立しない、と主張した。

入管法24条の3イに該当すると判断した。

本件判決は、「入管法24条3号の4イは,「事業活動に関し,外国人に不法就労活動([括弧内省略])をさせること。」と規定するのみであって,その主観的要件を規定していないから,当該外国人に不法就労をさせているという認識がなければ,同号イに該当しないということはできず,上記認識の有無は,飽くまでも不法就労助長行為の悪質性を判断する際の事情であるというべきである。」と判断した。

30

平成26年(行ウ)第628号平成27年11月6日東京地判

中華人民共和国の国籍を有する女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労活動助長)の退去強制対象者に該当するとの東京入国管理局横浜支局入国審査官の認定が誤りがないとの同支局特別審理官の判定に対し、出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出をしたが、法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がその異議の申出が理由がないと裁決し、これを受けて同支局主任審査官が原告に対し退去強制令書を発付したため、原告が、被告国に対し、原告には、日本人男性である前夫と実質的婚姻関係にあり、永住許可を受けて本邦に定着している等の事情があるのに、原告の在留を特別に許可しないでした前記裁決は裁量権の範囲をこえ又はその濫用があるもので、また、市民的及び政治的権利に関する国際規約23条等に違反して違法であり、違法な裁決を受けてされた前記退去強制令書発付処分も違法であるとして、これらの取消しを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。

原告はクラブの経営者。

原告は、入管法24条3の4イに該当することを認めていた。

入管法24条3の4イに該当すると判断した。

 

31

平成26年(行ウ)第508号平成27年 9月8日東京地判

ペルー共和国の国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法所定の退去強制手続において、東京入国管理局入国審査官から同法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当する旨の認定を受け、法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長から同法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、東京入管主任審査官から退去強制令書発付処分を受けたことについて、原告は日本人女性との間で真摯な婚姻関係にあり、原告の在留状況は本邦の社会秩序を害するものではないことなどからすれば、原告に対して在留特別許可を付与しないでされた本件裁決は、裁量権を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であり、本件裁決を前提としてされた本件退令発付処分も違法である旨主張して、本件裁決及び本件退令発付処分の各取消しを求めた事案で、原告に対して在留特別許可を付与しなかった東京入管局長の判断は、全く事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとは認められず、ほかに本件裁決が違法であることをうかがわせる事情もないから、本件裁決は適法なものであり、したがって、本件裁決は適法なものであるから、本件裁決を前提とした本件退令発付処分も適法なものであるとして、原告の請求を棄却した事例。

原告は、株式会社の会長である。

原告は,P20と面接した際に,P20のパスポートや在留カードを確認した上で,P20の在留資格が,「決められた場所以外では働いてはいけないビザ」である「技能実習1号ロ」であることを認識しており,P21及びP22についても,在留資格が「働くことのできないビザ」である「技能実習1号ロ」であることを認識しながら,両名を雇用し,グローバルフーズに派遣したものであり,本邦においてP20らが就労できないことについての認識があったことは明らかであり,不法就労助長の認識に欠けるところはない、と判断された。

入管法24条3の4イに該当すると判断した。

本件判決は、「不法就労助長行為の認識がなかった旨主張するが,外国人が入管法24条3号の4イ(不法就労助長)に規定する退去強制事由に該当するというためには,当該外国人が事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせるという客観的事実の存在をもって足り,不法就労助長の認識(故意ないし違法性の意識)を要しないことは明らかであり,原告の主張は法的に無意味な主張といわざるを得ない。」と判断した。

32

平成26年(行ウ)第344号平成27年 5月28日東京地判

韓国国籍を有する原告が、不法就労助長に該当するとの認定及び同認定に誤りがない旨の判定を受け、同判定に対する異議申立てに対して法務大臣から異議の申出は理由がない旨の裁決を受け、処分行政庁から退去強制令書発付処分を受けたことについて、被告である国に対して、裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを請求した事案において、原告の請求をいずれも棄却した事例。

原告はクラブの経営者。

原告は短期滞在の外国人を就労させた。

入管法24条3の4イに該当すると判断された。

本件判決は、「原告は,本件クラブで不法就労させていた4名の外国人について,そのいずれもが本邦において就労する資格を有していないことを認識していたか,少なくとも,就労する資格を有していなくてもかまわないと考えて就労させていたものと推認することができる。」と判断された。

33

平成26年(行ウ)第3号平成27年4月23日東京地判

パキスタン・イスラム共和国国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条4号ロ(不法残留)に該当するとの認定等を受け、東京入国管理局長から同法49条3項に基づき異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、更に、東京入国管理局主任審査官から同条6項に基づき退去強制令書の発付処分を受けたことから、裁決には違法があるなどとして、被告国に対し、裁決及び処分の取消しを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。

原告自ら不法就労した者である。

原告自ら不法就労した者であるから検討の対象外。

原告自ら不法就労した者であるから検討の対象外。

34

平成25年(行ウ)第287号平成27年 4月16日東京地判

中華人民共和国の国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当するとの認定等を受け、東京入国管理局長から同法49条3項に基づき異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、更に、東京入国管理局主任審査官から同条6項に基づき退去強制令書の発付処分を受けたことから、被告国に対し、裁決に違法があるなどとして、裁決及び処分の取消しを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。

原告はスナックの経営者、店長。

留学の在留資格で在留する外国人留学生に報酬を受ける活動をさせたことにより,入管法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当するとされているが,当該留学生達は資格外活動許可を受けており,入管法19条2項に基づき付された「風俗営業が営まれている営業所において行う報酬を受ける活動を除く」という条件に違反したにすぎないものであると主張。

入管法24条3の4イに該当すると判断した。

35

平成25年(行ウ)第103号平成27年 2月6日東京地判

外国籍を有する原告が、退去強制令書発布処分の取消しを求めた事案で、原告は病気により治療を必要している等と主張したが、原告には不法就労を助長させる行為をしたという退去強制事由があること、帰国したとしても適切な治療を受けることができないとまではいえないこと等を理由に、原告の請求を棄却した事例。

原告は風俗営業店の経営者。

原告は、「平成21年法律第79号による入管法の改正によって,不法就労活動をさせたことを退去強制事由とする(同法24条3号の4イ)とともに,過失により不法就労活動を助長させた場合であっても処罰を免れることができない旨の規定(同法73条の2第2項)が新設され,上記の改正部分は平成22年に施行されているから,本件においても,これらの規定が適用される可能性があった。
 しかしながら,原告は,同項に違反した罪に問われていないから,本件不法就労助長行為について,刑事上の故意どころか過失すら認められないと判断されたものといえる。そうすると,入国管理当局は,不法就労活動をさせたことについて過失すら認められない原告について,行政上も刑事上も何らの処分も受けていないにもかかわらず,同法24条3号の4イの規定を機械的に適用して退去強制事由があるものと取り扱って退去強制手続を進めたということができる。」と主張した。

本件判決は、「入管法24条3号の4イの規定に該当することについて,外国人に故意又は過失があったことを要することやその有無ないし不法就労活動を助長する行為を行っていた期間の長短により違法性の軽重に変化が生ずることをうかがわせる法令上の根拠は見当たらない」と判断した。

36

平成25年(行ウ)第284号平成25年(行ウ)第789号平成26年(行ウ)第180号平成27年 1月23日東京地判

外国籍を有する原告が退去強制手続に対して異議を申し立てたものの理由がない旨の裁決がなされたため、かかる裁決の取消訴訟を提起した事案で、原告が不法就労活動を助長させる行為をしたとの退去強制事由が認定できるとして、原告の請求を棄却した事例。

原告は,本件スナックにおいて,P6ら他のホステスたちよりも対人関係上優位な立場にあり,経営者であるP5と同様に本件スナックにおける監督的立場にあって,P6ら他の従業者に対して,ホステスとして働くよう指示し,不法就労活動に従事させていた。原告は、チーママであった。

当該外国人は「短期滞在」の在留資格による在留期間を経過して,本邦に不法残留していた。

入管法24条3の4イに該当する。

①本件判決は、「以上のとおり,原告は,本件スナックのホステスの中では先輩格としての仕事をしていたとはいえ,ホステス以外の仕事を日常的な職務として担当していたとまではいえず,他のホステスとの間で有意な給与差もないことなどからすれば,事業活動における監督的立場にあると断ずることは必ずしも相当ではないから,原告が,対人関係上優位な立場にあることを利用して,P6に対し不法就労活動を行うべく指示等の働きかけをしたとまではいうことができない。したがって,原告がP6に対して不法就労助長をさせる行為をしたとはいえず,被告の上記ア〔1〕の主張は,採用することができない。」と判断した。

②本件判決は、「P6の来日当日,P5は,原告がP6の本邦における連絡先となっていたことから,P6が上陸の際,その後の行き先について東京入管の担当官から尋ねられることに備えて,原告と共にP6を空港まで車で迎えに行っており(証人P5〔調書3,4頁〕),原告は,同車が本件スナックに直行し,P5が同店の従業員たちにP6を新しいホステスとして紹介した上,その日のうちにホステスとして勤務させた(甲13)にもかかわらず,これを制止しなかったばかりか,上記エのとおり,新人ホステスであるP6に仕事の内容を教えたものである。
 そうすると,原告は,P6の入国及び本件スナックにおける稼働に積極的に荷担し,同店の経営者であるP5がP6に不法就労活動をさせるに当たり,これを容易ならしめたといえるから,原告には不法就労助長の幇助が成立する。」と判断した。

37

平成25年(行ウ)第352号平成25年(行ウ)第784号平成26年(行ウ)第161号平成26年12月5日東京地判

フィリピンの国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)所定の退去強制手続において、東京入国管理局入国審査官から入管法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当すると認定した処分を受け、法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長から入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、更に東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受けたことについて、不法就労助長に該当しないなどと主張して、本件認定の取消しを求める(乙事件)とともに、原告が日本人の配偶者であることなどからすれば、原告に在留特別許可が付与されるべきであるから、本件裁決は違法であり、これに伴い本件退令発付処分も違法となると主張して、本件裁決及び本件退令発付処分の各取消しを求め(甲事件)、更に原告が上記配偶者との子を妊娠するなどしており、原告には本邦で生活すべき人道上及び公益上の理由があると主張して、本件裁決及び本件退令発付処分の各撤回を求めた(丙事件)事案で、原告のP5に対する不法就労助長は、本件スナックにおいて、10数名の従業員らに対し反復継続して行われてきた不法就労助長の一環として、出入国管理行政上到底看過し難い悪質なものであり、原告について、従前の在留資格を剥奪し、退去強制させることがやむを得ないといえる程度の違反があるといわざるを得ないなどとして原告の請求を棄却した事例。

原告はスナックの管理者、経営者。

当該外国人は不法滞在の者であり、原告はこの点を争っていない。

原告の主張は、比例原則違反等である。

入管法24条3の4イに該当する。

38

平成26年(行ウ)第168号平成26年12月4日東京地判

韓国国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)及び同条4号ヌ(売春業務従事者)に該当するとの認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長から、同条3項に基づき、異議の申出には理由がない旨の裁決(本件裁決)を受け、さらに、東京入管主任審査官から、同条6項に基づき、退去強制令書の発付処分(本件退令処分)を受けたため、原告に在留特別許可を付与しないでした本件裁決は違法であるなどとして、本件裁決及びこれに基づく本件退令処分の取消しを求めた事案で、原告の在留状況、P5との婚姻関係、P5の健康状態等、本国に帰国した場合の支障の程度等の諸事情を総合考慮すると、原告に有利な事情を踏まえても、原告に対して在留特別許可を付与しなかった本件裁決が、全く事実の基礎を欠き、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、東京入管局長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものとは認められず、本件裁決は適法である等として、請求を棄却した事例。

原告は個室マッサージ店の経営者。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認め、在留特別許可を付与しなかった本件裁決等を争っている。

入管法24条3に4イに該当する。

39

平成25年(行ウ)第718号平成26年11月20日東京地判

中華人民共和国国籍を有する原告が、裁決行政庁から出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、処分行政庁から退去強制令書発付処分を受けたことにつき、被告国に対し、裁決及び処分の取消しを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。

原告は靴工場の経営者。

原告は本件工場で雇っていた従業員の在留資格や就労する資格の有無を確認しなかったものであり,不法就労助長行為は原告の過失にすぎないと主張した。

入管法24条3の4イに該当する。

40

平成25年(行ウ)第773号平成26年 9月25日東京地判

出入国管理及び難民認定法49条3項に基づき同条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決及び同条6項に基づく退去強制令書の発付処分を受けた外国籍の原告が、裁決には裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法がある等主張し、被告国に対し、裁決及びこれに基づく退去強制令書の発付処分の取消しを求めた事案において、請求が棄却された事例。

原告は焼肉店の経営者。

原告は,自らが経営する焼肉店において,在留資格を有しないタイ人女性を,在留資格がないことを知りつつ平成22年7月頃から雇用していた。

入管法24条3の4イに該当する。

41

平成25年(行ウ)第533号平成26年 9月9日東京地判

大韓民国国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法所定の退去強制手続において、東京入国管理局長から同法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、東京入国管理局横浜支局主任審査官から退令発付処分を受けたことについて、原告が日本人と内縁関係にあり、本邦に定着していること等からすれば、原告に対して在留特別許可をすべきであったから、裁決は裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものであり、裁決を前提とする退令発付処分も違法なものである旨主張し、裁決及び退令発付処分の取消しを求めた事案において、請求を棄却した事例。

原告はマッサージ店の店長。

原告は不法滞在者を就労させていたところ、入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当する。

42

平成25年(行ウ)第315号平成26年 7月29日東京地判

原告(タイ王国の国籍を有する外国人女性)が、出入国管理及び難民認定法所定の退去強制手続において、東京入国管理局長から同法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受けたことについて、原告が日本人男性と婚姻関係にあり、同人の家族の生活にとって原告の助力が必要であることなどからすれば、原告に対して在留特別許可をすべきであったから、裁決は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであり、裁決を前提とする退去強制令書発付処分も違法なものであると主張し、裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを求めた事案において、請求を棄却した事例。

原告はスナックの経営者。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当する。

43

平成25年(行ウ)第332号平成25年(行ウ)第346号平成26年 7月10日東京地判

大韓民国国籍を有する原告らが、東京入国管理局長から出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受けたのに対し、裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを求めた事案において、請求を棄却した事例。

本件は、入管法22条の4第1項1号等に基づく在留資格取消処分が争われており、原告は不法就労助長の被疑者となったものの嫌疑不十分で不起訴になっておりこれは同処分の理由とはなっていない。

入管法24条3の4イは問題となっていない。

入管法24条3の4イは問題となっていない。

44

平成25年(行ウ)第433号平成26年 7月10日東京地判

原告(中華人民共和国国籍を有する外国人男性)が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当するとの認定及びこれに誤りがない旨の判定を受け、同法49条1項に基づく異議の申出をしたが、東京入国管理局長から、同条3項に基づき、異議の申出には理由がない旨の裁決を受け、さらに、東京入国管理局主任審査官から、同条6項に基づき、退去強制令書の発付処分を受けたため、原告に在留特別許可を付与しなかった裁決には裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるなどとして、裁決及び退去強制令書発付処分の各取消しを求めた事案において、請求を棄却した事例。

原告は株式会社の代表取締役。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当する。

45

平成25年(行ウ)第291号平成26年 6月25日東京地判

原告(フィリピン共和国の国籍を有する外国人の女性)が、退去強制の手続において、東京入国管理局長から出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受けるとともに、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受けたことにつき、原告が日本人の男性の配偶者であることなどからすれば、在留を特別に許可すべきであって、裁決には裁量権の範囲から逸脱し、又はこれを濫用した違法があり、また、裁決を前提とする退去強制令書発付処分、も違法であるなどと主張して、裁決及び退去強制令書発付処分、の各取消しを求めた事案において、請求を棄却した事例。

原告自ら不法就労した者である。

原告自ら不法就労した者であるから検討対象外。

原告自ら不法就労した者であるから検討対象外。

46

平成24年(行ウ)第734号平成25年(行ウ)第288号平成25年(行ウ)第326号平成26年 4月25日東京地判

大韓民国の国籍を有する外国人男性である原告が、「投資・経営」の在留資格に係る在留期間更新許可申請について、入国管理局長から、申請どおりの内容では許可できないが、申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば申出書を提出すべき旨の通知を受け、その後にされた退去強制手続において、不法就労助長等に該当するとの認定処分を、入国管理局長から出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を、主任審査官から退去強制令書発付処分を、それぞれ受け、さらに入国管理局長から在留資格変更許可申請を不許可とする旨の処分を受けたことなどについて、不法就労助長に該当しないなどと主張して、被告(国)に対し、通知の取消し、更新申請に対する不作為の違法確認、認定処分、裁決及び退去強制令書発付処分の各取消し、更新許可申請の義務付け等を求めた事案において、一部の訴えを却下し、更新不許可処分等に裁量権の濫用などは認められないなどとして、その余の請求を棄却した事例。

原告は有限会社の代表取締役。

当該外国人は,中国国籍を有する外国人男性であり,本件摘発の際,「人文知識・国際業務」の在留資格を有し,在留期限も経過していなかったが,資格外活動の許可は受けていなかった。

入管法24条3の4イに該当する。

47

平成24年(行ウ)第757号平成25年(行ウ)第211号東京地判

原告(大韓民国の国籍を有する外国人男性)が、出入国管理及び難民認定法所定の退去強制手続において、東京入国管理局入国審査官から同法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当すると認定した処分を、東京入国管理局長から同法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決及び原告の在留期間更新許可申請を許可しない旨の処分を、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を、それぞれ受けたことについて、不法就労助長に該当する事実は存在しない旨主張して、認定の取消しを求める(乙事件)とともに、原告による不法就労助長行為があるとしても、悪質なものではなく、原告が本国に送還されることになれば妻子に重大な影響が生じ、工場の経営も継続できなくなるなどの事情からすれば、在留特別許可を付与しないことは、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁決は違法であり、これに伴い退去強制令書発付処分も違法となり、更新不許可処分も理由を欠き違法である旨主張して、裁決及び退去強制令書発付処分、並びに更新不許可処分の各取消しを求めた(甲事件)事案において、請求をいずれも棄却した事例。    

原告は工場の経営者。

原告は,上記アの行為につき反復性,長期性,故意が認められないから,不法就労助長に該当しないなどと主張する。

入管法24条3の4イに該当する。

①原告は、「入管法は,24条3号の4イにおいて退去強制事由として不法就労助長を定める一方で,73条の2第1号において,同一の文言で不法就労助長に対する罰則を定めている。退去強制が罰則と同様に被処分者に対する不利益処分であることに鑑みれば,当該罰則規定との均衡を図るためには,同法24条3号の4イにいう「不法就労活動をさせ」たとの要件は,〔1〕反復継続し長期間にわたって不法就労活動をさせる場合(反復性,長期性の要件を満たす場合)で,かつ,〔2〕不法就労活動をさせたことに対する認識が認められる場合(故意の要件を満たす場合)にのみ該当する,と実質的に解釈しなければならない。」と主張。

②被告は、「退去強制は,我が国の出入国管理秩序,社会秩序等の観点から,我が国に在留させることが好ましくないと認められる外国人を国外に退去させる行政処分であり,行政罰とは異なり,その性質上,当然には,故意の存在を要件とするものではない。」と反論。

③本件判決は、原告には故意があると判断して入管法24条3の4イに該当すると判断した。

48

平成25年(行ウ)第138号平成25年(行ウ)第587号平成26年 2月12日東京地判

(1)原告(フィリピン共和国の国籍を有する外国人女性)が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当する退去強制対象者として、退去強制手続において、東京入国管理局長から同法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を受け、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受けたことについて、原告は、20年以上の間、本邦に滞在し、永住許可を受けていること、原告には日本人の前夫との間に未成年の娘がおり、娘の親権者を前夫から原告に変更する親権者変更の調停の申立てを家庭裁判所にしていることなどからすれば、原告に対して在留特別許可をすべきであったから、裁決は裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものであり、裁決が違法なものである以上、裁決を前提とする退去強制令書発付処分も違法なものであると主張し、裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを求めるとともに、(2)同原告が、退去強制手続において、東京入国管理局入国審査官から同法24条3号の4イ(不法就労助長)に該当する旨の認定を受けたことについて、認定は違法なものであると主張し、認定の取消しを求めた事案において、請求を棄却した事例。

原告はスナックの経営者。

原告は、短期滞在」の在留資格をもって本邦に在留し,資格外活動の許可を受けていない者を就労させたものの、原告は就労資格を当該外国人が有しないことを明確には認識していなかったと主張した。

入管法24条3の4イに該当する。

①本件判決は、「退去強制は行政処分であって刑罰ではないこと,また,不法就労助長に関する刑罰規定においてさえ,故意は要件とされていないこと(入管法73条の2第2項)からすれば,外国人の不法就労助長に該当する客観的事実があれば,当該外国人に就労が認められる在留資格が無いことの認識がなかったとしても,入管法24条3号の4イに該当すると解することが相当である。」と判断した。

②本件判決は、「同人の在留資格が短期滞在であり,D7に不法就労活動をさせていると認識していたことは明らかである。」と判断した。

49

平成24年(行ウ)第607号平成26年 1月24日東京地判

タイ王国の国籍を有する外国人女性である原告が、原告に係る退去強制の手続において、東京入国管理局長から出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の本件裁決を受けるとともに、東京入国管理局主任審査官から本件退令発付処分を受けたことについて、永住者の在留資格をもって本邦に在留し、日本人と婚姻してもうけた子が本邦にいる原告には在留を特別に許可すべきであったのに、その旨の判断をすることなくされた本件裁決には裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法があり、また、本件裁決を前提とする本件退令発付処分も違法であるなどとして、被告国に対し本件裁決及び本件退令発付処分の各取消しを求めた事案において、本件裁決について東京入国管理局長に裁量権の範囲からの逸脱又はその濫用は認められないなどとして、原告の請求を棄却した事例。

原告はスナックの経営者。

原告は、短期滞在の在留資格をもって本邦に在留し,法務大臣からいわゆる資格外活動の許可を受けていないタイの国籍を有する外国人を就労させた。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当する。

50

平成24年(行ウ)第706号平成26年 1月23日東京地判

ナイジェリア連邦共和国の国籍を有する外国人女性である原告が、出入国管理及び難民認定法の定める不法残留に該当し、かつ、出国命令対象者に該当しない旨の認定及びこの認定に誤りがない旨の判定を受けたことから法務大臣に対して異議の申出をしたところ、東京入国管理局長から異議の申出に理由がない旨の裁決を受け、さらに、東京入国管理局横浜支局主任審査官から退去強制令書の発付処分を受けたため、原告に在留特別許可を付与しないものとした裁決は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な裁決であり、退去令書の発布処分は同裁決の違法性を承継し違法であるとして、東京入国管理局長及び東京入国管理局横浜支局主任審査官の所属する国を被告として、同裁決及び退去令書の発布処分の各取消しを請求した事案において、請求を棄却した事例。

原告自ら不法就労した者である。

原告自ら不法就労した者であるから検討の対象外。

原告自ら不法就労した者であるから検討の対象外。

51

平成25年(行ウ)第306号平成26年 1月17日東京地判

台湾で出生した原告が、入管法所定の退去強制手続において、東京入国管理局長から異議の申出には理由がないとの裁決を受け、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書の発付処分を受けたことについて、被告である国に対して、本件裁決及び本件退令発付処分の各取消しを求めた事案において、原告の請求を棄却した事例。

原告はクラブの経営者。

原告は入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当する。

52

平成24年(行ウ)第639号平成24年(行ウ)第880号平成25年11月26日東京地判

中華人民共和国の国籍を有する外国人女性である原告が、退去強制手続において、入国審査官から不法就労助長に該当すると認定した処分を、入国管理局長から出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を、主任審査官から退去強制令書発付処分を、それぞれ受けたことについて、不法就労助長に該当しないとして、被告(国)に対し、同認定の取消しを求める(乙事件)とともに、行為の違法性は極めて低く、原告は永住許可を受けており、素行も善良であるなどの事情からすれば、在留特別許可を付与されるべきであったなどとして、被告に対し、裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを求めた(甲事件)事案において、原告の行為は不法就労助長に該当するとした上で、原告に在留特別許可を付与しなかった入国管理局長の判断は、全く事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとは認められないとして、各請求を棄却した事例。

原告はスナックの経営者。

当該外国人は,入管法19条1項の規定に違反する不法就労活動を行ったと判断された。

入管法24条3の4イに該当する。

53

平成24年(行ウ)第657号平成25年 9月17日東京地判

タイ王国の国籍を有する外国人である原告が、出入国管理及び難民認定法24条3号の4イ(不法就労助長)及び4号ヌ(売春の周旋)に該当する退去強制対象者として、退去強制手続において、東京入国管理局長から同法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を受け、東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受けたことから、裁決は違法なものであり、裁決を前提とする処分も違法なものであるなどとして、被告国に対して、裁決及び処分の取消しを求めた事案において、原告の請求をいずれも棄却した事例。

原告はカラオケパブの経営者。

原告は、入管法24条3の4イに該当することを認めている。

入管法24条3の4イに該当する。

54

平成24年(行ウ)第367号平成25年 4月24日東京地判

ペルー共和国の国籍を有する原告が、退去強制手続において、出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の本件裁決を受けるとともに、本件退令発付処分を受けたため、本件裁決等の取消しを求めた事案において、18歳にも満たない児童に対し、既に弁償を受けているバイク代の名目の一つとして、執拗に援助交際をするよう申し向けて困惑させ、実際に援助交際をさせてその対価の全額を交付させたという行為態様は、当該児童の人格をおよそ考慮しない卑劣なものであって、極めて悪質なものであり、本件裁決をもって、法務大臣等の裁量権の範囲から逸脱し、又はこれを濫用したものということはできないのであって、本件裁決は適法なものというべきであるとし、請求を棄却した事例。

本件は、原告が入管法24条4号ヌ(売春の周旋)が問題となったものであり、入管法24条3の4イは問題になっていない。

本件は、原告が入管法24条4号ヌ(売春の周旋)が問題となったものであり、入管法24条3の4イは問題になっていないから検討対象外。

本件は、原告が入管法24条4号ヌ(売春の周旋)が問題となったものであり、入管法24条3の4イは問題になっていないから検討対象外。

55

平成23年(行ウ)第200号平成24年 2月7日東京地判

大韓民国国籍を有する原告が、退去強制対象者に該当する旨の認定を受け、異議の申請をしたところ、原告の異議の申し出には理由がない旨の裁決を受け、退去強制令書の発付処分をうけたため、本件裁決及び本件退令処分の取消しを求めた事案において、原告が、亡夫を自らの手で弔いたいという希望を有していることが、在留特別許可の許否の判断の際の一要素として考慮され得ることはあっても、憲法20条1項や憲法24条に基づいて、亡くなった配偶者の供養を行うために本邦に在留する権利が保障されていると解することはできないいし、このような事情にかかわらず在留特別許可をしなかったからといって、直ちに憲法20条1項や憲法24条に違反することにはならず、原告が本邦に在留すべき特段の必要性があるとはいえないとし、請求を棄却した事例。

原告はスナックの経営者。

原告は、在留資格「人文知識・国際業務」で本邦に在留し,資格外活動許可を受けていない韓国国籍を有するPことQ(以下「P」という。)をして,ホステスの報酬を受ける活動に従事させた。

原告は,Pは就労ビザを有しているため,同人が本件飲食店でアルバイトとして働くことには問題がないと思っており,これが入管法に違反することを明確に認識していたわけではないと主張した。

入管法24条3の4イに該当する。

本件判決は、「在留資格「短期滞在」で本邦に在留していた従業員7名については,人手不足を補うという安直な目的でこれらの者が本件飲食店で稼働することが不法就労に該当することを明確に認識しつつ雇用しており,その他の在留資格で本邦に在留していた従業員11名(Pを含む。)についても,これらの者の在留資格の有無等を確認した際,これらの者が本件飲食店で稼働することが資格外活動に該当する蓋然性があることを十分に認識し得たものというべきであることからすれば,これらの者を本件飲食店に雇用して稼働させることにより,本邦における不法就労活動を容認していたものといわざるを得ない。」と判断した。

以上

 

 

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