不法就労助長の疑いをかけられた場合の注意点
2025/09/16
1 はじめに
本日は不法就労助長に問われた場合の注意点について解説します。
2 不法就労の基礎知識
不法就労助長は、助長「罪」と、退去強制事由の2種類で処罰される仕組みになっています。日本人の場合は(1)のみ対処すればいいのですが、外国人の場合は(1)、(2)の両方に対処する必要があります。
(1)刑罰法令違反としての不法就労助長罪(日本人・外国人共有)
入管法により、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、と定められています。
(2)退去強制事由としての不法就労助長行為(外国人のみ)
入管法により、不法就労助長行為をした外国人は強制送還の対象になります。
3 不起訴処分は嫌疑不十分を狙うべし
不法就労の場合には、刑事事件の部分と、退去強制事由(入管問題)としての側面があります。
刑事事件の場合には、最終的に検察官がその事件を起訴するのか、不起訴にするのかを判断します。
実務的には不起訴は2種類であり、起訴猶予と嫌疑不十分が存在します。
「起訴猶予」とは、犯罪の成立を認めつつ、個別的な事情により猶予するものです。
「嫌疑不十分」とは、犯罪の立証ができないというものです。
この2種類は不起訴であることに変わりはなく、刑事責任を問われないという意味では同じものです。その意味では刑事弁護として、刑事責任から免れるという意味では、この両者に本質的な違いはありません。
問題は、退去強制事由(入管問題)としての不法就労助長の場面です。
刑事事件で不起訴になった場合でも、入管が調査し、入管独自の判断で不法就労に該当すると判断する場合があります。刑事事件では刑事責任の追及であり、入管問題では行政処分という角度から判断がされるのです。ですから、刑事事件では不起訴になっても、入管問題では不法就労助長に該当するという現象が起きます。
外国人の場合、刑事事件で不起訴処分となっても、入管問題で不法就労助長に該当するものと判断されてしまうと、強制送還の問題に直結します。
その意味では、刑事事件で「起訴猶予」となるのか「嫌疑不十分」とするのかでは入管での扱いが変わってきます。現実問題として刑事事件で「起訴猶予」、すなわち犯罪の成立が認められた場合、検察官のその判断は入管でも一定の重みを持つのです。
ですので刑事事件で不当な「起訴猶予」処分を受けて不当な先入観を持たれたまま入管の調査を受けないように、刑事事件の段階で「嫌疑不十分」を狙う必要があるのです。
4 最後に
このような問題意識を持っていただき、不法就労助長を疑われた場合、捜査機関や入管の本格的な調査が始まる前に、不法就労助長問題に精通した弁護士に相談して、戦略的な弁護を受けることをお勧めします。
弊所では、社会の耳目を集める数々の難関事件や従来の実務を乗り越える先進的な訴訟を手掛けています。これらの案件は実務に一石を投じたものも少なくありません。特に、成立範囲の緩やかな不法就労助長については、「不法就労助長行為の成立には、故意・過失が必要である」との理論武装を行い、徹底的に戦ってきた実績があります。
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